押入れと床の間リフォームの
きっかけと概要

 リビングと隣り合うマンションの和室です。
 幅1間の押入れと天袋収納があります。向かって右側の壁には梁があるため、天袋の幅のほうが押入れよりも狭くなっています。
 押入れ襖は幅1枚分しか開かないため、出し入れし辛く、天袋と押入れ襖は枠毎撤去しフルオープン可能な折戸タイプのクローゼット扉に付け替えます。
 内部の床は既存のままで、中段と天袋を撤去し、クロス張りまで実施します。内部の造作は後でお客様ご自身が突っ張り棒を使った棚を取り付ける予定です。
 折戸タイプのクローゼット扉の高さは標準ですが、幅方向は開口寸法に合わせたサイズオーダー品としました。

リフォーム前の和室の押入れ リフォーム前
リフォーム後の中折戸クローゼット リフォーム後

 床の間には3段の固定棚を設置し、棚にはパソコンなどが置けるように配線を通せる穴を開けました。

 部屋のクロスの補修はクローゼット周囲の壁と床の間は左奥の入隅部分で継ぎ貼りしました。

工事の様子と詳細をご説明します。

※今回のリフォーム工事では、畳は縁無し半帖畳へと新しく入れ替えるため既存の畳を養生替わりに利用します。

押入れ中段と天袋の解体・撤去作業

 押入中段の解体から始めます。まずは、段板と壁との取り合いの雑巾摺りを撤去します。 雑巾摺りを撤去  部材は再利用することもあります。
 リフォームでは、既存部分との取り合い部分は、木の焼け具合が揃っている既存の部材を用いた方が自然に仕上がる場合があるからです。
 傷が付かないように丁寧に外します。

 次に、段板を撤去し、 押入の棚板を撤去

 そして、中桟、 根太の撤去

 それから、側桟、 横受け桟も撤去

 最後に前框と後框を外せば中段の撤去は完了です。 前框と後框をはずす

 中段の次に、天袋を解体します。要領は中段と同様です。雑巾摺りを外して、 押入の天袋の解体

 段板を外し 押入の棚板を外す

押入内部を解体

 木下地を外してきます。 押入内部の木下地を外す

 中鴨居は中央で切って、外します。

中鴨居を外す
押入をクローゼットにリフォーム

 天袋の鴨居の撤去は天井の廻り縁に接着されているため、廻り縁を傷めないようにノミで少しずつ欠きながら撤去していくので手が掛かります。 天井の周り縁も撤去

 根気が要ります。 丁寧に外します

 ノミで細かく裂かれた鴨居です。 のみで裂かれた鴨居

 そして、左縦枠。これも、中央付近にノコを入れて外します。

押入の枠を解体
押入をクローゼットにリフォーム

 敷居は床の根太と固定されているので、切れ目を3ヶ所ほど入れ、裂いて取ります。

 
押入の敷居を外す
押入をクローゼットにリフォーム

押入をリフォーム

 残りの右縦枠は躯体にボンド留めされているので叩いて外します。

躯体に固定されている右縦枠
丁寧に解体

 枠を外すと石膏ボードがコンクリートの躯体にGLボンドで接着されているのが見えます。

新規クローゼット枠の組み立て設置

 押入れと天袋が撤去できたところで、新規クローゼットの枠の取り付けです。 クローゼットにリフォーム

 先ずはクローゼット枠を組み立ててみます。 クローゼット枠を組み立て

 それから、枠を固定する木下地を造作していきます。

 一般の方は、意外に思われるかもしれませんが、建具を取り付ける部位となる床・壁・柱・天井などはおよそ水平・垂直ではありません。たいがい狂っています。

 取付部位が歪んでいるのに対して、建具本体と建具枠は長方形に製作されています。

 ですから、歪んだ所に合わせてクローゼット枠を取り付けてしまうと、枠と壁、枠と床との取り合いはきれいに納まりますが、建具が開け閉めし辛くなったり、枠と建具の間に隙間ができたりします。また、スムーズな動きが長持ちしません。残念ながらこのような施工は結構多いものです。

 枠の取り付け部位はレーザー水準器で下地が水平垂直になるようにレベルを調整していきます。 レーザーを使って下地を調整  これは、敷居の木下地を取り付けているところですが、左右(大工の背中側と頭側)で右側が下がっているように見えると思います。

 枠を水平垂直に固定して床や壁との間に段差や隙間ができたとしても見切り材などを使って、ある程度は補正できます。建具と枠とが水平・垂直ならば動きはスムーズで長持ちします。

 今回取り付けるクローゼットの高さは標準規格の2350㎜ですが、天井からの下り壁(さがりかべ)が若干出来ます。

 そこで、廻り縁下にボードを留める木下地を取り付け、 廻り縁の取り付けを補強

下り壁を造作します。 下り壁を造作

 クローゼットの縦枠は梁に沿って床まで真っ直ぐに伸びるので、梁下には小壁を造ります。 垂直に木下地を立てる  これはレーザー水準器を用いて垂直に木下地を立てているところです。

 梁下にもボードを張るための木下地を入れておきます。 押入をクローゼットにリフォーム

 木下地の造作が済んだところで、枠を建て込んでみます。 クローゼットの枠を建て込む

 レーザー水準器の垂直レーザー光線に先ずは右縦枠を合わせながら クローゼットの扉をつける

 枠と木下地の間に隙間調整材を入れて固定していきます。 押入をクローゼットにリフォーム

 赤い水平線が壁の中ほどに見えますか? クローゼットの枠を取付ける  上枠も水平レーザー光線に合わせて、隙間調整材を入れながら固定していきます。

 左縦枠も同様です。 枠を付ける

 最後に敷居を固定します。 クローゼットの敷居を固定


 枠周りが固定できたところで、鴨居と敷居にレールを留めます。
レールを付ける
クローゼットのレールを取付

 クローゼット枠が取り付けられました。 クローゼット枠が取り付けられました

新規中折クローゼット
扉本体の吊り込み

 いよいよ、折戸の吊り込みです。 クローゼット折戸の吊り込み

 右側から吊り込みます。扉に固定されているランナーを下レールにはめ込んで、 クローゼット扉を取付

上部ランナーを挟み込み、 押入をクローゼットに

扉を持ち上げて固定します。 折れ戸の取付

 開いて、そのまま端に寄せていくと、 押入をクローゼットにリフォーム

レール端部のストッパーにランナーが固定されます。 押入をクローゼットにリフォーム

 建具の調整はほとんど要らないほどです。 扉の調整

 同様に左側も建て込んでいきます。

左の扉も取り付け
押入をクローゼットに

 こちらも良さそうです。 扉の取付

 だいぶ、出来上がってきました。 押入をクローゼットにリフォーム

 続いて扉に把手を付けます。
 取り付ける向きは、縦・横いずれにもつけられますが、施主様は縦を選ばれました。

 把手取り付けネジの下穴は当て木をしてバリが出ないように開けます。 扉に取っ手を取付

 把手は裏側からビスで固定します。 クローゼットにリフォーム

 そして、建て付けを微調整し、 クローゼット建具を調整

 召し合わせを取り付ければ、クローゼット扉本体の取り付けは完了です。 クローゼットリフォーム

クローゼット枠周りの補修

縦枠下端高さ調整

 次に、畳を敷き込む際、畳の納まりをよくするために、干渉する縦枠下端部分を敷居面の高さまで切り欠きます。

畳との取り合いを調整
干渉する縦枠下端部分を敷居面の高さまで切り欠き

畳寄せ補修

 更に、壁のボードを張る前に、押入中段を外す際にとっておいた雑巾摺りを使って畳寄せの補修もしておきます。 畳寄せの取り付け

 フィニッシュネイルで 押入をクローゼットにリフォーム

留めます。 押入をクローゼットにリフォーム

 いかがですか?外した既存の雑巾摺りを再利用することで木の焼け具合も他の畳寄せと揃いましたでしょ。 雑巾摺りを再利用

 さて、ここも微妙な補修です。床の間との間仕切壁とクローゼット枠との取り合い部です。 クローゼット周りの補修  襖の枠を外し、クローゼット枠を取り付けたところ、畳寄せが枠まで届かずに、隙間が開いてしまいました。
 5mm程度ですが、欠けていると目立つので補修します。

 木っ端を加工し埋め木するのですが、5回目にしてやっと寸法通りにできました。

 余りに細かいので、ボンドでそっと取り付けます。

クローゼット周りの補修
クローゼット周りの補修

壁のボード補修

 次にクローゼット周りのボード張りをします。 クローゼット周りのボード張り

 梁の下端部 梁の下端部

 クローゼット枠の右小壁 クローゼット枠の右小壁

 下り壁 下り壁  これで、クローゼット周りの造作は完了です。

床の間に3段固定棚を取り付け
パソコンスペースとして使う

 今は荷物置場になっている奥行約30㎝の床の間。 リフォーム前

 3段の固定を取り付け、有効活用できるようにします。 リフォーム前の床の間

 先ずは、レーザー水準器で棚の高さを墨出しします。 棚の高さを墨出し

 今回のリフォームでは壁紙はクローゼットと床の間の周囲だけを部分補修します。

 床の間は向かって右と奥のクロスのみ張り替え、左の壁は活かし、左奥の入隅で継ぎ張りして柄の違いを目立たせないようにします。 棚受けを固定する位置の壁紙を剥がす

 左の壁は棚受けを取り付ける部分の壁紙のみ剥がします。 棚受けを取り付ける部分の壁紙だけを剥がす

 これは、入口建具の和風木枠に合わせて、無垢の棚受けを留めるのに、フィニッシュネイルと併用する木工用ボンドの効きを良くするためにやります。 床の間に棚をつくる  棚受けの部分だけ壁紙がカットされています。

 クロスを剥がした跡に、木工用ボンドを塗布して 床の間にパソコンスペースを作る

棚受けをフィニッシュネイルで仮留めし、 棚受けを付ける

さらに、細ビスで本固定します。 床の間に棚を作る

 棚板はジャストサイズに加工し、 棚板はジャストサイズに加工

 3方の壁に回した棚受けの上に載せます。 床の間に収納をつくる  棚板の形は壁の倒れや開きによって各段微妙に違います。

 下段は、パソコンを載せるので、ケーブルが通せる穴を開けます。 ケーブルが通せる穴を開ける

 棚板が完成しました。 棚板が完成

壁紙補修

 大工の造作が終わると内装工によるクロス張りです。

 まずは、下地調整の粗パテに強固剤を入れて 粗パテに強固剤と硬化剤を入れる

練ります。 壁紙の補修

 パテ打ちです。強固剤を入れると硬く硬化します クローゼット周りの壁紙補修

 クローゼット内部 クローゼット内のパテ

 下り壁 クロス貼りの前にパテを

 クローゼット右側の小壁 パテで下地を調整

 梁下端の出隅は、コーナー材を入れて補強し、 コーナー材を入れて

粗パテでしごきます。 粗パテでしごく

 粗パテが乾いたら、きめ細かい仕上げパテでより平滑に均していきます。 平滑に均す  不陸が著しいとパテ処理を何度もやらなければならない場合もあります。

 仕上げパテが乾いたら、ペーパーヤスリで表面を平らに研磨し、 平らに研磨

壁紙を張っていきます。

クローゼット内の壁紙を張る
床の間の壁紙を張る

 採用した壁紙は臭いを分解する壁紙です。クローゼット内部やトイレ、脱衣所などにお奨めです。

壁紙の詳しい説明はこちら

 壁紙を貼り終えました。 リフォーム後  壁紙はクローゼットと床の間周りだけの部分補修でしたが、似た柄で目立ちにくい位置で張り継いだのでパッと見では気付きません。

 下段の左奥にパソコンケーブルを通す穴をつけたので、下のコンセントまで通しやすくなっています。 リフォーム後の床の間  床の間への固定棚の取り付けができました。

 床の間のリフォームでは、他にも可動棚の取り付け、お仏壇置場、地袋造作、観音開き扉や折戸を取り付けての収納、茶室の水屋への造り替えなどのご要望もあります。

クローゼットにリフォームした押入 リフォーム後
クローゼットにする前の押入 リフォーム前

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 以下では具体的にどのような収納のリフォームがあるのか?住まいの中の場所別、種類別にご案内します。

お取り扱いの収納・棚リフォーム目次

 ご紹介の収納・棚リフォームはほんの一例ですが、他にご要望があれば何でもお声掛け下さい。

押入れのクローゼット化

押入をクローゼットに
  • 開口寸法拡張
  • ハンガーパイプ取付
  • 中段・枕棚の設置

埋め込み収納

収納でスッキリと
  • 壁厚利用

床下収納庫

収納でスッキリと

玄関収納・下足箱収納

収納でスッキリと
  • セパレートタイプをトールタイプに
  • 大きさ変えずに収容数2倍

小屋裏収納・天井裏収納・ロフト

屋根裏の収納
  • 天井裏や吹き抜け,斜め天井を収納スペースに活用

室内物干し

室内物干し設置
  • 普段は格納、使用時に取り出し

玄関横ウォークインクローゼット

玄関ウォークインクローゼット
  • 靴ほか屋外用品をまとめて収納

飾り棚収納

飾り棚の造作

階段下収納

階段を利用して収納をつくる
  • 階段下デッドスペースの活用

畳下収納

畳収納
  • くつろぎ空間に収納スペース創出

階段上収納

階段上収納

クローゼットの増設

クローゼットの増設
  • タンス撤去⇒クローゼット増設

トイレ収納

トイレ収納

可動棚

可動棚
  • 収容物の高さに応じて棚移動可

収納
 人それぞれ収納の仕方は異なりますが、限られたスペースを無駄なく使い、上手に収納したいのは共通の想いです。

 一旦タンスにしまわれ、長い間取り出されないものを『タンスの肥やし』などと言います。

『収納・棚』は、一旦リフォームすると長くお使いいただくものです。使い辛いがために、『収納の肥やし』などとならないように、出し入れしやすく、使いやすいものへとリフォームしたいですね。

 住まいるパートナーでは皆様のご要望にお応えできるよう、メーカー各社の収納・棚製品を『比較検討』し、各社製品の特長をお伝えするように心掛けています。

 また、収納・棚についてのこだわりのご相談は建築士アドバイザーが承ります。

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