使いづらいドア(開き扉)の引き戸(アウトセット引戸)へのリフォームは住まいるパートナーにご相談下さい。
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6帖間をお母さんの寝室に改装する際に実施した入口ドアのアウトセット引戸へのリフォーム事例をご紹介します。
部屋から出るのにドア前に物があると開けづらく、前々から引き戸にしたかったそうです。
特にお年寄りでは、咄嗟の際に部屋から出られなくなるかもしれません。
そこで、改装に際しアウトセット引戸に変更することとなりました。
アウトセット引戸の設置の際、建具を引き込む側にコンセントやスイッチがあって使い辛くなる場合は移設の必要があります。
新設するアウトセット引戸は向かって左側に引き込むので、照明スイッチは右側へ移設します。
続いては、ドア下の沓摺(くつずり、下枠)を撤去します。
居間とお母さんの部屋の床とに段差があり見切り材となっています。
完全には段差解消できませんが、斜めの沓摺(くつずり)に付け替えることでつまずきの危険を軽減させます。
後ほど沓摺の加工はご紹介します。
さて、次は壁を改修します。
本来、アウトセット引戸の設置は、上レールを取り付ける開口部上部の木下地を補強すれば足ります。
今回、建具を入れ替える間仕切壁は繊維壁(塗り壁)の上に合板が上張りされた後、クロスが張られており、所々合板の浮きや剥がれが見受けられます。
そこで一旦、塗り壁ごと撤去し、壁紙下地として石膏ボードに張り替えることとしました。
先ずは繊維壁に上張りされた合板をはがしていきます。
繊維壁は下地のラスボードごと撤去します。
内壁が撤去出来ました。軸組が露わになったところで、アウトセット引戸利用のメリットをご説明しましょう。
ドアの両側には断面寸法100㎜角の柱、それ以外は間柱(断面寸法30×100㎜)で、右下から建具上部にかけ、斜めに筋交い(すじかい)が入っています。
これらの柱や筋交いは新築時の構造計算上、必要十分な耐力壁となるように配置されています。
通常、片引き戸は建具が引き込まれる側の壁は『控え壁』といって、柱や筋交いの無い非耐力壁になっています。
つまり、上のような開口部に片引戸を後付けするとなると、今ある柱や筋交いなどを撤去しなければならず、建物強度が低下することになります。
その点、アウトセット引き戸は開口部を外側から覆うように設置するので、既存の柱や筋交いの撤去が要らず、建物強度を下げずに取り付けられます。
本来この工程は、アウトセット引戸を取り付けるだけの工事には不要ですが、ボードを張る壁の木下地に著しい狂いがあったため、レベルを整えるために実施しています。
軸組の凸凹に合わせて厚みの異なるパッキン(調整材)を留め付けて、レベルを均してからボードを張っていきます。今回、ボードは柱をつなぐように敢えて横張りします。
ドア上の壁にはアウトセット引戸の上レールを堅固に固定するため構造用合板で木下地を入れます。
これは、戸車が左右に行き来することで生じる振動によりレールが緩まないようにするためです。
壁のボード張りを終えたところで、ドア下に取り付ける沓摺(くつずり)を製作します。
先ずは沓摺を留め付ける木下地を取り付け、寸法取りします。
沓摺は栂(つが)の無節材(むふしざい)を加工して作ります。先ずは見込寸法に割いて、
丸鋸の鋸刃を斜めに入れて沓摺に角度を付けます。
切り落としは手鋸を使います。
切り口をカンナで削り、
ペーパーやすりで磨いて仕上げていきます。
加工した沓摺を取り付けます。
さて、いよいよアウトセット引戸の取り付けです。既存の建具は埃養生に使い最後に外します。
今回のアウトセット引戸は下レールで荷重を支えるタイプです。下レールの無い上吊りレールだけの製品もあります。
先ずは、戸車が走る厚さ3㎜の下レールを床に直接取り付けます。
次にドア上に付けた木下地に上レールを固定します。
今回は既存のドア枠はそのまま利用しています。
建具を建て込んでみて納まりが確認できたら、
幕板のベース材をビス留めし、
幕板本体を取り付けて、建具を調整すればアウトセット引戸の取り付け作業は終了です。
最後に床と壁の取り合い部に巾木(はばき)と
天井と壁の取り合い部に廻り縁(まわりぶち)を取り付ければ、
アウトセット引戸周りの大工作業は完了です。
パテの乾きを待つ間にクロスに糊付けします。
リフォーム前後をご確認下さい。
リフォーム前
ドアの左側にあった部屋の照明スイッチは
右側に移設し、その下にはコンセントも増設しました。
リフォーム後
開き扉と違って居間側にある荷物や人を気にせず、開けられます。お年寄りが閉じ込められる心配も解消しました。
右側の引き戸が今回ご紹介したアウトセット引戸です。
リフォーム後
壁の表面に上レールが取り付けられ、建具は開口部を覆うよう閉まります。既存の柱もそのままなので建物強度も変わりません。
アウトセット引き戸は建物の構造強度を落とさずに設置できるのがメリットですが、反面建具が壁面より出っ張ってくるのがデメリットです。(下図の黄色部分)
正面はトイレ入口です。トイレ室側に引き込まれる通常の片引戸です。(図のピンク部分)アウトセット引戸との納まりの違いがお分かりいただけると思います。
トイレとの間仕切り壁は、建具を引き込むため、厚みが薄い控え壁(ひかえかべ)となっていて柱はありません。
ここはもともと押入れだったため当初から柱はなく、片引戸を入れても建物強度に影響はないわけです。
長年使い辛く、『なんで開き扉なんだろう?』と思っていましたが、見えない壁の中の柱や筋交いが建物の強度に大きく影響すると教えてくださり、アウトセット引戸をご提案いただきました。
アウトセット引戸になってリビング側にいる人にぶつかる心配や、物があって戸が開けづらいということは無くなりました。
普通の片引戸に比べて枠が無いため見映えが変わると説明を受けましたが、取り付けてみるとさほど違和感もありませんでした。
入口の沓摺は段差をなるべく緩やかにするようにと、できるだけ長めに斜めの加工してくれたのには感謝しています。
さて、ご覧いただいた中には『アウトセット引戸には他にどんなデザインがあるの?』とお思いの方もいらっしゃると思います。
今回の採用品は表面が平らでシンプルなタイプですが、他にも以下のようなデザインがございます。
さぁ、あなたも使い辛い開き扉をお気に入りのデザインのアウトセット引戸にリフォームしてみませんか?