土台・柱に傷みの恐れがある住宅のリフォーム工事は(株)住まいるパートナーにご相談下さい。
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なんらかのリフォーム工事をする際に解体工事はつきものです。特に、壁や床を解体中に白蟻や水漏れによる腐朽被害に出くわすことはよくあります。
このような被害で特に深刻なのは、土台や柱のような構造材が大きなダメージを受けているケースです。
土台や柱は建築開始当初に組み込まれる構造材で、基礎や他の部材とも固定されており、建築後の入れ替えは簡単にはできません。
在来軸組構造では土台や柱のような構造材が建物の重量を支え、建物に掛かる応力を受け止め、他へと伝達・分散することで強度を保っています。
インターネット上には、新築時と同等、或いはそれ以上の強度に復旧する改修事例はたくさん紹介されています。
耐震強度は新築時の部材構成により計算されますが、傷んだ構造材を新築時と全く同じように復旧するには、大掛かりな解体作業が必要となるケースもあります。
実施するリフォーム工事で当初より大規模な解体を予定している場合は、傷んだ部分の復旧はさほどの負担増にはならないでしょうが、そうでない場合は、期間的にも予算的にも困難になりがちです。
当ウェブページで紹介するのは、そのような復旧工事ではありません。
むしろ、『大規模な改修は望ないので、『完全』とはいかないながらも、危険な状況を回避・軽減したい。』とお考えの方向きの内容です。
特に、築25年以上の在来住宅では、時折、水廻りの土台や柱に不具合が見受けられます。例えば、浴室入口枠や脱衣所の床に欠損や凹みが生じている場合などは、土台や柱が傷んでいる可能性があります。
水廻りのリフォームをご検討の際には、土台・柱の復旧のことも頭の片隅に入れておきたいものです。
さて、前置きはこの位にして、本題に移りましょう。
このウェブページでは、『収納をトイレへ改修』する際に発覚した土台・柱の白蟻被害ついて、弊社施工の復旧工事をご紹介しています。
工事内容は、お客様のご都合もあり、基礎や外壁部分には手を掛けず、必要最低限に留めた内容であることをおことわりしておきます。
今回リフォームする一戸建住宅の構造は在来軸組工法で外壁はモルタル左官壁です。先ずは、トイレに改修する収納の解体工事から始めてまいりましょう。
以下の収納を
リフォーム前
高齢者の寝室に付帯するトイレに改修します。 リフォーム後
解体工事を始める前、荷物が移動された部屋で異変に気付きました。
収納の敷居の傷みです。不穏な雰囲気です。 これは、外部からの衝撃によるものではなく、内部から白蟻によって食い破られた跡です。
収納を解体していきます。
天井・壁とも漆喰壁(塗り壁)になっている内部は全て解体します。
収納下部の引き出し部分の解体です。雑巾摺りを外して地板を剥がし、
バラしていきます。
床の合板は湿気ではだけていて、バリバリに剥がれてしまいますが、シロアリがいる様子は今のところありません。
壊した引出し収納の残材を片付けていくと、長手の壁の土台がぐらついていることに気付きました。 この位置からは一見変わりありませんが、
このように片手で簡単に引き抜け、外れてしまいました。 通常は、基礎上の土台には柱が立てられ、建物の荷重が掛かっているので、簡単には外れません。
土台をひっくり返してみると、基礎と接している部分が、シロアリに喰われて朽ち果てています。
白蟻はすでにいませんが、土台の半分以上が食い尽くされています。
土台と接合されているはずの柱は宙に浮いています。
内部の解体を終え、残材を片付けました。正面の壁は幅1間です。
給水管の左側にある柱が隅柱で、右側には3本の間柱、斜めの筋交い、そして右端の柱と続いています。
筋交いには耐震性を高める効果があります。
柱・間柱の外側には、横方向にザラ板(ラス板)といって外壁に塗るモルタル左官の下地板が張られています。
ザラ板の上には、防水紙、ラス網(モルタルを塗りつける金網)をステープル留めし、モルタルが塗られています。
左の隅柱から右端の柱迄、柱・間柱と基礎の間には何もありません。
土台が無い部分の外壁は上部横架材の胴差と、その胴差にぶら下がった状態の柱・間柱、さらにその柱に横貼りされたザラ板で形作られています。
柱脚部が固定されていないので、大きめの地震が来れば、揺れが増幅されて崩壊につながる可能性もあります。
基礎は連続した鉄筋コンクリート造ではなく、細長い基礎石が並べられたもので、土台はその上に敷かれていました。 正面の長手の土台他、
左手の土台や
右手の土台にも欠損があります。
隅柱にも傷みがあります。
そこで、土台入れ替えと柱の補強工事を行います。
本来であれば、軸組の補強は、しっかりとした基礎があってこそ有効な工事ですが、建物も相当古く、基礎のやり替えや補強までは希望しないとのこともあり、以下のように土台・柱といった軸組中心の補強復旧をすることとなりました。
基礎は既存を利用しますが、土台との接合は強固にします。
まずは、向かって右側の土台(青枠)から着手します。
木工ドリルで土台を切断していきます。
右側切断後、
中央の間柱を土台との取り合い部でカットします。
欠損のある左側をバールでこじると、
外れました。
続いては、下図の柱の傷んでいる根元部分を切断・撤去し、新しい材木で根継ぎします。
柱切断の際、周囲の柱が同様に傷んでいたり、傷みの状況が確認できない場合は注意が必要です。
安易に切断すれば荷重による沈み込みや、崩落の危険があるからです。
根継ぎする柱がのっている土台は傷んでいますが、根継ぎする柱の左側の柱と土台については、床を解体しないので状況が掌握できていません。
そこで、収納の引違い戸上部にある2階床梁の中央部(緑の部分)に仮設柱を立て込み、上階の荷重を支えるようにします。
このように、柱・土台の入れ替えは建物の荷重の掛かり方を確認しながら進めていきます。
以下は収納内から部屋側を向き、天井を見上げたところです。
右側の柱は根継ぎする柱です。この柱に向かって左側の柱から梁が横に伸びています。
この梁の中央部に仮設柱を立て込んで、根継ぎする柱に掛かる荷重を軽減させます。
土台から梁下迄の長さで
仮設柱を立て込みます。仮設柱が立て込めました。
根継ぎする柱の傷んだ部分の切断は慎重に進めます。
丸鋸で粗方引いてから、
手鋸でザラ板ギリギリまで切り込みを入れます。
切断部の撤去前に念のため脇にもう一本仮設柱を追加しておきます。
柱に入れた2本の切り込みの間をノミで少しずつ欠き取っていきます。
無事柱が切り欠けました。柱も下ってきません。
ザラ板を破損させないように、傷んだ部分を慎重に撤去します。
上手い具合に外せました。
続いて、根継ぎ補強する柱から隅柱迄の土台(青枠)を入れ替えます。
先ずは、土台中央の間柱を切断します。土台は根継ぎする柱の右側に継手があるので、
柱の左側で切断し、隅柱まで継手無しで造り替えます。
古い土台を取り除き、
新たな土台を加工します。 弊社の土台交換では防腐・防蟻剤をあらかじめ含浸させた材木(防腐土台)を使用します。
傷んだ構造材の入れ替えは、広い範囲を解体して新築同様、正規の手順で復旧していく方法と、解体は小規模に留め、代替工法で復旧する方法があります。
新築時と同様の手順で復旧する場合は、粗方解体するので、解体費用や復旧時間が掛かりますが、建築上の問題は余り生じません。
問題は、構造材の取り付けよりも後に作る部分を壊さずにやりかえる場合です。
例えば、今回のように外壁部(ザラ板、防水紙、ラス網、モルタル壁)を活かしたまま、構造材の一部をやり替えるようなケースです。
本来、新築では外壁のザラ板以降の工程は土台・柱の取り付け後となります。代替工法では、後工程となる外壁部を残したままで、土台・柱を入れ替えるので建築順序が逆になります。
そのため、新築時とは異なるやり方になる場合があります。
下は、新規の土台に仕口加工をしているところです。
加工した土台を一旦入れ込んでみて、当たりを見ます。
両側とも少し調整すればいけそうです。
少し削って当たりを調整します。
今度はいい感じに納まりました。
既存の土台と納めた土台はビスで仮留めしておき、後に接合金物で固定します。
新たに入れ込んだ土台は既存の土台とも連結金物で固定します。
接合金物が見えますか?
土台が入れ込めたところで、切断した柱の根継ぎ加工をします。相欠きで継ぎますが、あとで接合金物、ボルトと添え柱で補強します。
新規柱の土台側は仕口加工します。
既存と新規を継いでみましょう。
本来ザラ板は外側から釘で柱に留めるので、新規の柱を入れ込む際にはザラ板との接合面にボンドを塗布して入れ込みます。
相欠き部分をビスで仮留めします。
土台と柱は柱脚金物で補強固定します。
継いだ部分は連結プレートで補強します。
続いて根継ぎした柱の右側に添え柱(青枠)を立て込みます。
この位置にはご覧のように筋交(すじかい)(黄枠)が入っています。
筋交には、建物の耐震性を高める役割があるので、添え柱と筋交が緩衝する部分は添え柱を切り欠きます。
柱を立て込む位置に定規をあてがい、筋交の位置に印を付け、 筋交の位置を新規柱に墨出し(書き写し)ます。
墨に合わせて丸鋸で切れ目を入れノミで切り欠いていきます。根継ぎした柱の右側から少しずつ寄せていきます。
良い感じに寄りました。
ビスで仮留めしておき、あとで柱脚金物で固定します。
続いて、長手と向かって右手の土台(青枠)の加工に移ります。
先ずは短手の土台を仮置きし、長手の土台の長さを当たります。
長手の土台の仕口を加工し、
今までの土台より、断面寸法が大きいので柱の位置を彫り込んで座りを良くします。
粗削りした土台を仮置きし、様子をみてみます。
当たりを見ながら、
高さを調整していきます。
長手の土台が良い感じに納まりました。
続いては短手の土台の仕口加工です。
あてがってみて、
気持ち修正します。
既存柱に防腐・防蟻剤をタップリ塗り込んでから、
土台を接合します。
うまく納まりました。
土台・柱・間柱はビスで仮留めしておきます。腰高までの既存の木部には、防腐・防蟻処理を施します。
続いて隅柱の補強です。隅柱は交換が困難なため両脇に2本の添え柱(青枠)を立て込んで補強することにします。
先ずは左側への添え柱です。
先ほどと同様、筋交と緩衝する部分を切り欠いて立て込んでいきます。
叩きながら少しずつ寄せていきます。
土台と胴差にビスで仮留めします。
同様にして右側にも添え柱を立て込みます。
隅柱は隠れてしまいましたが、かなり頑丈になりました。
以下の長手の壁の間柱(青枠)も添え柱で補強します。
長手壁中央の間柱(断面寸法30㎜×100㎜)には、
105㎜□の柱を添えました。
さらに、その右横の間柱(断面寸法30㎜×100㎜)には、
断面寸法45㎜×105㎜の添え柱を追加補強します。
既存柱と添え柱は柱頭~柱脚間を
100㎜ピッチで千鳥調にビス留めしていきます。
下の写真は右側の短手の壁上部ですが、中央の間柱の柱頭をご覧ください。
何にも固定されていません。
以前他社がやったリフォームの際、柱頭の『頭つなぎ』を外したままにしたようです。
『頭つなぎ』というのは、柱頭部に梁と同様に取り付けられますが、役割的には梁のように荷重を負担するというよりは、平行に走る梁と柱を連結することで梁の横ぶれを抑える働きをします。
105㎜□の材木で胴差と床梁を連結する『頭つなぎ』を追加し、間柱も固定します。
両端の横架材を切り欠いて、『頭つなぎ』と接合できるように仕口加工します。
『頭つなぎ』も仕口加工します。
入れ込んでみます。
いい感じで納まりました。
梁、間柱、『頭つなぎ』はビスで仮留めし、のちに接合金物で補強します。 既存の基礎には土台を固定するアンカーボルトがありません。そこで、ケミカルアンカーを使ってアンカーボルトを固定します。ケミカルアンカーは基礎に穿孔した穴に接着剤を用いてアンカーボルトを接着固定するものです。
新たに敷設した土台と基礎とをケミカルアンカー(後施工アンカー)を使って緊結します。
ケミカルアンカーを打ち込む位置にポンチで印を付けます。
木工キリで土台に穴を開け、
続いて、基礎にも穴を開けていきます。
規定の位置へケミカルアンカーを入れ込む穴が空けられました。
穿孔後、穴の中の削りカスはしっかり取り除きます。 ケミカルアンカーの強度を出すためには、この作業が最も重要です。
清掃後の穴にケミカルアンカーのガラスカプセルを奥まで入れ込みます。このカプセルの中に接着剤が入れられていて二重ナットで座金を挟み込んで固定したアンカーボルトを差し込み、カプセルの上部から押し当て
ボックスソケットをセットしたドリルを使ってゆっくり揉み込んでいきます。
ねじ込んだ状態でアンカーボルトが固まるのを待ちます。
基礎と入れ替えられた土台には、アンカーボルトが取り付けられました。柱・土台補修後ケミカルアンカー迄完了
解体直後
アンカーボルトが硬化したら、座金を敷いてナットで締め付けます。
ナット上部のボルトはカットします。
土台固定後、仮留めしてある柱、土台、梁、筋交いなどを耐震金物で接合補強します。
土台と柱を柱脚金物で緊結します。
柱頭は横架材と接合金物で補強します。
根継ぎした柱は添え柱とボルトでガッチリ固定します。
筋交いも筋交い接合金物を使って柱と固定します。
同様に、土台どうしも補強固定していきます。
土台・柱の軸組補修を終え、壁への断熱材と床組に入る前に白蟻消毒をいたしました。内部はもちろん、外部も基礎周辺をくまなく消毒いたします。
外皮側の壁には構造用合板を貼る前に断熱材を入れ込みます。
胴差・柱・土台は一枚ものの構造用合板(3尺×10尺判)を釘で縫い付けていきます。
構造用合板は100㎜ピッチで留めていきます。
続いては床組です。根太掛けと大引きを設置します。大引きは受金物を使って軸組に固定します。
大引きを仕口加工せずに固定できます。
床板を載せる根太は長手方向に流します。トイレ入口には片引戸を付けるので敷居を固定するための木下地も入れておきます。
断熱材敷設後、
構造用合板を2重張りし、剛性を高めます。
天井裏で隅柱に向かう胴差(横架材)を火打ち金物で固定し水平構面を補強します。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
『傷んだ土台・柱の入れ替えと接合金物による補強復旧工事』はいかがでしたか?
土台・柱の傷みに出くわした際の復旧対応はリフォーム業者によって様々です。
などは、工事後わずかな期間で不具合に見舞われることもあります。
弊社では、傷んだ土台・柱の復旧工事の際、建築士アドバイザーがご要望に沿う改修プランをご提案いたします。
という皆様、是非お声掛け下さい。歓迎いたします。
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