契約アンペアを上げる際に電気設備のやり替えが必要な場合があります。今回ご紹介の事例では契約電力を30アンペアから40アンペアへ変更するのに伴い電柱から分界点までと、宅内の屋内配線を100V単相2線式から100V/200V単相3線式に張り替え、分電盤の交換も実施しました。電力供給会社(東京電力)による引き込み工事と屋内配線工事の様子もご覧いただけます。
契約アンペアアップに伴う
電気設備リフォーム承り地域
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分電盤の主幹ブレーカーが落ちるケースで、契約アンペア変更(アップ)に伴う電気設備のやり替えリフォームをご検討の方に向け、イメージしやすいように簡単な言葉で概要をご説明いたします。
まず、以下の分電盤をご覧下さい。
リフォーム前
これは、100V単相2線式、主幹(親)ブレーカー30アンペア(青丸部分)の全8回路が収容(赤丸部分)できる分電盤です。容量不足のお宅でよく出くわす典型的なタイプです。
現在は、7回路が収容されています。
新築から期間が経過し、ある程度まとまったリフォームをやる時期を迎えた住宅では、概ね上の写真のように3種類のブレーカー(遮断器)がついた分電盤が設置されています。
状況によって落ちるブレーカーは異なります。
こちらのお宅では、(子)ブレーカー(赤丸)よりも大元の主幹(サービス)ブレーカー(青丸)がよく落ちます。 建物全体で使用している電気量が契約アンペアの30アンペアを超える頻度が高いわけです。
大元の主幹ブレーカーが落ちると大変煩わしく感じます。
というのも、パソコン作業中やデータ収録中に落ちると、データが保存できていなかったり、収録が不完全になったり、家電製品の中には工場出荷時の状態に戻るケースもあり、設定のやり直しが必要だったりするからです。
子ブレーカーが落ちるのと違い、建物全体の電気が落ちるので全ての家電製品に影響がでます。
そこで、電力供給会社に契約アンペアアップの依頼をするのですが、宅内の工事が必要なケースがあります。
主幹(サービス)ブレーカーが落ちないようにするには、契約アンペアを見直さなければなりませんが、同時に、既存の電気設備がそのまま利用できるかを確認しなければなりません。
屋内配線方式
以前の住宅や小規模な住宅では100V単相2線式の場合があります。この方式は30アンペアまでの利用となるため、超えて利用する場合は100V/200V単相3線方式への切り替えが必要となってきます。
電線
電線は許容電流を超えると、加熱して発火の恐れがあります。許容電流は太さ、絶縁性、耐熱性等によって異なりますが、利用に見合うものへの変更が必要です。既存が100V/200V単相3線方式であっても契約変更後の容量に対応できない場合があるわけです。
分電盤一つの回路に多くの電気機器を接続して同時に利用すると許容電流を超えてその回路のブレーカーが落ちます。そこで利用に見あう数の回路やコンセントが必要になってきます。各回路で実際に使用する電気機器の消費電力を確認し、許容電流に余裕をもって計画していきます。
分岐回路が複数増えて既存の分電盤に収容できない場合は分岐回路の多い新規の分電盤への交換がお奨めです。
その場合も、将来の電気機器の追加を考慮して回路数は検討します。
特に、IHクッキングヒーター、エアコン、電子レンジ、浴室暖房乾燥機、乾燥機付き洗濯機、食洗機などメーカーが専用回路を推奨するものについては単独の回路への収容となりますので、注意が必要です。
続いては、具体例として先ほどの分電盤のお宅の契約アンペアアップのための事前工事をご紹介します。
こちらは100V単相2線式なので、契約アンペア数を30から40アンペア以上にするには屋内配線方式の変更が必要となります。 そこで100V/200V単相3線式に変更します。
100V/200V単相3線式は100V単相2線式に比べ電線の数は増えますが、細くて済みます。また、高い電圧(200V)で使用する機器(エアコンやIHクッキングヒーターなど)は高効率で経済的です。
100V/200V単相3線式への変更には以下の配線を張り替えます。
その後に
となります。
順を追って工事をご覧いただきましょう。
発電所からの電気は変電所を経て、電柱上の変圧器で変圧され、電柱からの架空線を伝わって、
下屋根の棟の破風板(黄色の丸)のところで宅内配線へと流れていきます。 ここが、電力会社側と所有者との接続点(分界点)となります。
分界点までは電力会社、これ以降宅内側の配線は所有者側の保安責任となります。
いずれも、新しい契約アンペアに見合うケーブルに張り替えます。
壁とあげ裏との入隅に見える白く塗られたケーブルは既存の配線です。 棟下に見える黒、白、赤の3本の配線が宅内側の新規のケーブルで弊社が工事したものです。
新規のケーブルは、外から目立たないように破風板の裏側を軒の下部まで沿わせていき
壁側に渡っています。 弊社ではできるだけケーブルが目立たないように努めています。
壁に渡った配線は電気メーターのところまで降ろします。 電力供給会社作業となるメーター交換の前に、新たな電気メーターボックスを取り付けておきます。
降ろしてきた、新しいケーブルはサドル(金具)で固定します。
メーターに入っている白と黒の2本のケーブルは既存配線で、二組の赤黒白の3本のケーブルが新規に張り替えたケーブルです。 一方が分界点からきている分で、もう一方が室内の分電盤に向かう分です。随分と太さに違いがあります。
電力供給会社の切り替え工事前までに、宅内配線は終わらせます。
今回は室内の改装リフォーム工事の一環です。
床・壁・天井の解体の際に電気メーターから分電盤までと分電盤から終端(照明やコンセントなど)までの配線は進めておきます。
壁や天井の大部分が剥がされた状態なので作業がはかどります。
配線は全て天井裏や壁内、床下に隠ぺいできます。
宅内配線を終えたら新規分電盤の取り付けです。
電気工の手元に室内各所に向かう配線が見えますが、これらを新規の子ブレーカーに収容していきます。 この段階では主幹ブレーカーは今までと同じ30アンペアです。
収容後は漏電チェックをします。
宅内の配線工事後、電力供給会社による引き込み線の張り替えの様子です。 最寄りの電柱から分界点までの電線を張り替えます。道路を封鎖しての作業でしたが2台のバケット車を使って手早い作業でした。
新規のメーターに交換されました。古い配線は無理やり剥がすと塗装を傷めてしまうため残置となります。
主幹ブレーカーの交換です。
40アンペアの主幹ブレーカーになりました。 実際の生活で必要な契約アンペア数がわからない場合は、徐々に契約アンペアを上げていくのが良いでしょう。
電力会社は、契約アンペアを上げる際には、すぐに対応してくれますが、一旦上げた契約アンペアを下げる場合は一定期間対応してもらえないケースもあるようなのでご注意下さい。
※もっとも、電気メーターが以下のようなスマートメーターの場合は異なります。スマートメーターではオンラインによる検針や契約アンペアの変更などが可能となりました。
以下は、新旧の分電盤です。
埃が原因による分電盤からの火災に備え新しい分電盤は蓋付きにしました。
上段と下段ブレーカーとの間にはどの回路かを記載するラベルがあります。
時々、ラベルに何の記載もない分電盤がありますが回路を特定するのに困ります。
こちらの分電盤にも一部不明部分がありましたので全てお調べして記入しました。
幹線が張り替えられ、既存7回路の中でも負荷の大きい回路は分け、新規増設分も加えて12回路に整理しました。 分電盤は将来にも備え、2回路分追加できるよう、14回路用を選びました。回路が適正に振り分けられたことでブレーカーが落ちることも無くなりました。
古い家での改装工事で電気設備の見直しリフォームをする際に、お客様から『うちはコンセントの数が少ない。』とか『分電盤の容量が少ない。』などとよく言われます。
住宅設備はおおかた、新築時の暮らし振りに合わせて設計されています。
築年数が古い家の新築時には、現在のように消費電力の大きい機器の使用や数多くの家電製品の利用は想定されていませんでした。
現在では大型テレビ、パソコン、ネットワーク機器、プリンター、携帯電話、ドラム式洗濯機、食洗機、浴室暖房乾燥機など、当時にはなかったものが増え、生活は様変わりしました。そのため、コンセントや回路、受電容量が足りなくなってきたわけです。
ある程度の規模の改装工事では、現在の暮らしに合わせて電気設備の見直しが必要になると思います。
分電盤の配線用遮断器(子ブレーカー)は機種にもよりますが、住宅用では15か20アンペアが一般的です。
これは同一回路に接続されている電気機器が同時に利用できる最大の消費アンペア数となります。
例えば、配線用遮断器が20アンペアの場合、同一回路で最大消費アンペア数1,500Wのドライヤーと1,000Wのポットを同時に最大出力で使うと消費電力は合計で2,500Wとなり2,500W÷100V=25アンペアが必要となります。
同一回路に流れる電流が20アンペアを超えると、ブレーカーが働き、電気は遮断されてしまいます。(実際は多少の誤差があります。)
電気メーカーでは特に消費電力の大きな電気機器には、専用(単独)回路の利用を推奨しています。
専用回路というのは、その機器だけが単独で使う回路のことですから、本来はテーブルタップなどを使って他の機器との共用は避けるべきです。
また、IHクッキングヒーターやエアコン、浴室・脱衣所暖房換気乾燥機の中には電圧が200ボルトのものも増え、新規に導入する場合は切り替えやコンセントの変更工事なども必要となります。
回路の設計は、その回路で実際に使う電気器具の消費電力の合計を目安としますが、ある程度余裕を見て決めるのが望ましいと思います。
全関東電気工事協会のホームページには同一回路上のコンセント数は8ヶ所以内(一般回路の場合)と記載されていますが、一般のご家庭では壁沿いに家具なども置きますので、コンセントの位置は予め家具の配置なども考慮してお決めいただくのが良いでしょう。
念のため先ほど申し上げた専用回路については、1機器に付き1回路が原則なのでコンセントも1ヶ所であれば間違いはありません。
是非、リフォームの際は今後ご使用予定の電気機器も想定して、契約アンペアや配線方式、分電盤の見直し等もご検討下さい。
住まいるパートナーでは『分電盤や配線等の電気設備のやり替えを伴う契約アンペア変更工事』を承っています。もちろん、改装リフォーム工事についても同時にご相談いただけます。