階段口への引戸取り付けの
きっかけ

 2階リビングから1階と3階への階段に直接つながるリビングイン階段。『幼児転落事故と愛猫の脱走を防ぎ、冷暖房効率向上に効果がある引き戸を付けたい。』と新築住宅をご購入されたお客様からのご相談でした。

1.リフォーム前の状況

 工事は引き渡し直後の新築住宅です。
 右側の開口部が1階から上がってくる階段で、左側が3階へと昇る階段です。1⇒2階への階段の天井は3階への階段形が見える造りになっています。

リフォーム前の階段口 リフォーム前
リフォーム前の3階への階段口
階段口の幅×高さの寸法は2ヶ所共約770㎜×2,400㎜で、

 天井からは下り壁(さがりかべ)も無く、リビングの天井高がそのまま階段口の高さ寸法になっています。 階段口の天井

2.リビングイン階段口への
引戸の納め方

 この2つの階段口への引戸取り付けですが、階段前の廊下の幅が約780㎜と狭いため、出来るだけ出っ張らないように1本のレール上に2枚の引き戸を走らせる仕様としました。 リフォーム前の階段口  各建具の幅が805㎜であるのに対し、2つの階段口の間の壁は幅が1,050㎜しかないため、2ヶ所同時に全開とはなりません。

 レールは壁に設置された7㎜厚の木幅木(もくはばき)と階段ササラ桁を交わして設置しますが、
リフォーム前階段口の床
3階への階段口の床
交わすことで気になるのが、壁と引戸との間に生じる隙間です。

引き戸は機構上、開き扉に比べ気密性が落ちるので、冷暖房効率を高めるため隙間は最小限にとどめたいものです。

 以下はリフォーム前後です。
引戸を設置した階段口 リフォーム後
リフォーム前の階段口 リフォーム前
 今回の採用製品はタチカワブラインド社の『間仕切りプレイス』です。

 新築住宅でもあり、なるべく手間の掛からない『アウトセット(枠外天井付け)納まり』を利用しました。

 アウトセット納まりは、壁面の位置より廊下寄りにレールが付き、階段口を覆うように閉まります。

 採用製品の『間仕切りプレイス』は、建具上部に付いている吊り車(上ランナー)が上レール内を可動し、上レールで建具の荷重を支えます。下レールも付きますが、建具の振れ留めとなるガイドレールなので荷重は受けない構造です。

 ご覧の通り、『アウトセット(枠外天井付け)納まり』の場合、戸当たりとなる枠や建具を引き込む控え壁の造作が不要なため、床・壁・天井への加工は最小限で済みます。今回の施工では壁紙の補修もありません。

3.間仕切りプレイス引き戸の搬入

 作業場所の床養生を終えたところで、間仕切りプレイス引き戸の搬入です。

 2階の階段口への設置となるので、2人掛かりで荷揚げし、対面キッチン前の開口部を通して、作業場のリビングに搬入しました。

 サイズは幅805㎜×高さ2,380㎜。㎡当たりの重量は約10㎏で、1枚約19㎏の重さです。 建具の搬入  1㎜単位のオーダー製作品のため、既存の開口部にもピタリと納められます。

4.レールの設置

4-1.天井への上レール設置用下地の取り付け

 さて、建具取り付けの際に最も注意しなければならないのは、床・壁・天井の水平・垂直レベルです。

 新築・中古に関わらず、建具が設置されていない場所というのは、レベルがさほど正確でないのが一般的です。

 特に引き戸取り付けでは、天井・床のレール取り付け位置の水平レベル、壁の傾きや凹凸は建具で調整できる範囲内でなければなりません。

 レベルの狂いが許容範囲を超えていると建具がスムーズに動かなかったり、耐久性に悪影響を与えるため、事前のレベル修正も必要となります。

 今回は、床・壁・天井の水平・垂直レベルは許容範囲内です。 引戸の部材を確認する  上吊りタイプは建具の荷重が吊り車を通じて上レールへと掛かるため、レール取り付け面は堅固でなければなりません。

 今回の場合は1本のレールに1枚約19kgの建具が2枚、合計38㎏の荷重が掛かるので、ただ取り付けるだけではなく、経年によるたわみや耐久性も考慮しなくてはなりません。

 上レールには取り付けビス用の穴が予め開けられていますが、レール取付用の木下地は建築時に入れるよう指示しない限り、通常は引抜耐力の弱い石膏ボードが張られ、十分な引抜耐力は得られていません。

 そこで、先ずは上レールを留め付ける堅固な木下地を取り付けていきます。

 木下地には他の部位にも使われているのと同じ建材メーカーの部材を利用します。 引戸の下地を加工する

 天井のボードを留めている野縁(のぶち)の位置を確認し、木下地の設置位置を検討します。 木下地の設置位置を検討する

 下地はお客様のご要望で、1階へと降りる階段側は突き当りの壁まで伸ばし、3階へと昇る階段側は手前の壁面よりやや短めに納めるようにしました。 木下地取付

 天井の野縁目掛け、約300㎜ピッチでビス留めしていきます。 建具の木下地取付

4-2.上レールの取り付け

 下地を取り付けたところで、レーザー水準器を当て、上下レールの取り付け位置を確認していきます。 レールの取付位置を確認する

 枠に赤いレーザー光線が映っているのが見えますでしょうか?この位置にレールを取り付けていきます。 レールの取付位置  設置位置確認後、レールの長さを微調整します。
 開口部にも若干の狂いがあるので、最終的なレールの長さは現場合わせで決めます。

 取り付けは2本のうち長い方の上レールを取り付けた後、下レールを取り付け、建具を2枚とも吊り込んだ後に短い上レールを取り付けます。 上レールを取り付ける

4-3.下レールの取り付け

 下レールは『フラットガイドレール』というように、厚さはわずか3㎜で、 下レールを取り付ける

床面に両面テープで貼り付けて固定するだけの簡単施工です。

 上吊り建具の中にはガイドピン仕様(床に埋め込まれたピンが磁石により、建具が上部を通過する際に立ち上がり、建具の振れ止めとなる。)のものもありますが、突風が吹き抜けるような場所では、建具がガイドピンに掛かっていないと煽られることもあるので機種選びには注意しましょう。

 フラットガイドレールの場合は、建具がどの位置にあっても振れ留めとなります。レールの厚みもわずか3㎜なので、埃も掃除機で簡単に吸い取れます。

5.建具(パネル)の吊り込み

 上下のレールが設置出来たところで、建具を吊り込んでみましょう。
建具を取り付ける
建具を取り付けて調整する
 おおよそ、良さそうです。建具を閉めていても人影を確認できます。

 階段の1階側から見上げたところです。 1階側から見上げた建具

 リビングと階段の天井がフラットなので綺麗に納まっています。 天井部分の納まり

 下のように、下り壁(さがりかべ)があるところに透過パネルのドアを天井付けのアウトセットで設置すると、閉めた際にリビング内からは透過パネル裏側の下り壁が透けてしまい、階段側もパネルの割り付けが不均等となって不格好な納まりとなります。 下がり壁のある所に天井付けのアウトセット建具を取り付けた場合

 下り壁がある場合は天井付けレールではなく、以下のように下り壁の壁面に設置する方が自然な納まりになります。 下がり壁の壁面にアウトセット建具を取り付けた場合  機種選択の際にこの点はご注意いただきたいと思います。

 建具を閉めると階段側の引手(戸先側)は程好く壁を交わし、綺麗に納まっています。 引手部分の納まり

 同様に戸先側のササラ桁、床との取り合いです。 ササラ桁と床との取り合い箇所

 こちらは戸尻側の巾木と床との取り合いです。 巾木と床との取り合い箇所


 2枚共吊り込んだら、短い方の上レール、レールストッパー、端部キャップも取り付けます。ビスは最後ドライバーで増し締めします。
レールや端部キャップの取付
ドライバーで増し締めする

 ガイドレール端部のキャップも取り付けます。 床レールの部材取付

6.建具と壁との隙間塞ぎ

 さて、施工のポイントです。
 建具の縦框(たてがまち)には、壁と建具との隙間を塞ぎ気密を高めるベラ(気密パッキン)が付いています。
 ところが、木幅木とササラ桁を交わして設置すると、下の写真のように約7㎜の隙間が出ます。 建具と壁との隙間  建具と壁との隙間を塞ぐ部材は、建具セットに同梱されていないので施工者が任意で納めます。Webでは塞がない施工例も結構あります。

 今回は、気密パッキンが被るように見切縁(みきりぶち)を取り付けます。

 見切縁やレール下地材はタチカワブラインド社には用意が無く、別手配となります。

 モヘヤなどは断熱性を高めるという観点からも用意があると良いですね。

 加工した見切縁はボンドとフィニッシュネール併用で取り付けます。 見切縁の取付

 階段開口部の端部4ヶ所に留めていきます。 見切縁を取り付ける


 気密パッキンが丁度見切縁に触れて隙間が埋まりました。
建具と壁との隙間 壁と建具に隙間が空いている状態
見切縁で隙間を塞いだ状態 見切縁で隙間を塞いだところ

7.リビングイン階段の階段口への
引き戸の取り付け完成

リビングイン階段階段口への引戸取り付け作業が終わりました。
レール用下地、上レール、キャップ、ストッパー、見切縁の納まりです。 レールを付けた天井の様子

 こちらはフラットガイドレールの端部で、先にはキャップが付いています。 レールを付けた床の様子

 3階から2階リビングに降りてきたところです。 階段側からの様子

8.リビングイン階段の階段口への
引き戸取り付け前後

 1階への階段口です。階段照明が消えた状態で建具が閉まっていても、フロスト調の透過性パネルのため、階段側の縦手すりを確認できます。
リフォーム前の階段口 リフォーム前
建具を取り付けたリフォーム後の様子 リフォーム後

 3階への階段口です。
建具設置前の階段の様子 リフォーム前
引戸取付後の階段口 リフォーム後
 こちらでも、引き戸の向こう側はぼんやり透けて見えます。

 白い内装と違和感なく仕上がりました。

引戸取付前の階段口 リフォーム前
引戸取付後の階段口 リフォーム後

 さて、今回採用のタチカワブラインドの『間仕切りプレイス』について、少々ご案内しましょう。

9.建具の特長

 タチカワブラインドの『間仕切りプレイス』の建具フレームはアルミ形材製でカラーは以下の7色です。 フレームの色の種類

 建具のパネルデザインは下記のようにパネルと採光窓を組み合わせてD1~5の5種類の中からお選びいただけます。 パネルデザインの種類

 パネルはMDFまたは合板が基材で、以下の5種類のポリオレフィンシートが貼られています。 パネルの色

 採光窓は割れにくく安全性の高いポリカーボネート製でクリア―とフロスト調の2種類からお選びいただけます。 採光窓の種類

 ちなみに、こちらでは、パネルデザイン:D-1、フレームカラー:ピュアホワイト、パネル:採光窓フロストで製作いたしました。

 商品の詳細説明はこちらからどうぞ。タチカワブラインドの間仕切りプレイスのWebカタログはこちら⇒

10.木製引き戸のデザインも
ご案内

 さて、「パネルデザインやアルミフレーム以外の建具もないのか?」とお思いの方もいらっしゃると思います。

 弊社では以下のようなデザインの木製建具のお取り扱いもございます。

木製建具のデザイン

 ご相談お待ちしています。

11.工事後のご感想

 リビングイン階段への引戸設置リフォームを終えたA様から嬉しいご感想メールをお寄せいただきましたので、ご紹介いたします。(担当者名とお客様名は控えさせていただきます。)

 『担当者さんはこちらからの要望をしっかり聞いた上で、最適な施工を提案いただけました。

 また、見積もり相談の時間の調整なども柔軟に対応していただき、大変助かりました。

 施工前日には前もってコロナ対策について実施している内容をメールで教えて下さり、当日も改めての説明と共に、施工後は消毒液での拭き掃除をとても丁寧にしてくださいました。

 施工の仕上がりは大変満足いくものでした。
 また何かリフォームが必要となった際にはぜひお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。』

 【担当者より】
 『工事のご感想をいただきましてありがとうございます。ご不安な期間中、また、雨天で肌寒いところ、玄関ドアや窓開けにもご協力いただき、ありがとうございました。今後共、宜しくお願い申し上げます。』

住まいるパートナー
 ご覧いただきまして、ありがとうございました。

 『階段口への引戸の取り付け』はいかがでしたでしょうか?

 リビングイン階段ではペットや幼児の転落、冷暖房効率を考えると階段口引き戸は欲しいものですね。

 壁にスイッチや、コンセント、リモコンなどがある場合でも、設置可能です。

 ご相談は以下からどうぞ。



お問い合わせ先

階段口への引き戸の取り付けリフォーム
工事承り地域

朝霞市 和光市 新座市 志木市
 練馬区 板橋区 西東京市 周辺 

ご相談お待ちしています。

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