高気密住宅での換気の考え方

—“空気が動きにくい家”で、
どう換気を成立させるか—

近年の住宅は、断熱性能の向上とともに、
すき間を極力なくした「高気密住宅」 が主流になっています。

冬は暖かく、夏は涼しい。
昔の家のように自然と空気が出入りしないため、外気の影響を受けにくい住まいですが、
換気設備が正しく働くことが快適性の大前提になります。

高気密住宅は、24時間常時換気されていることを前提に設計されています。

  • 「窓を閉めていると、レンジフードの吸い込みが弱い」
  • 「24時間換気を止めると、部屋の空気が重く感じる」

こうした声が増えているのも、高気密住宅ならではの“空気の性質”が関係しています。
ここでは、そのポイントを、できるだけ分かりやすく解説します。

高気密住宅では、
空気は“勝手には動かない”

昔の住宅は、壁や窓のすき間から自然に空気が出入りしていました。
しかし高気密住宅では、その“すき間”がほとんどありません。

そのため、空気は自然には入れ替わらず、
換気設備によって空気の流れを確保する必要があります。

空気の入口が確保されていなければ、
排気は十分に機能しません。

レンジフードは「吸う力」だけでは十分に働きません。
室内に新しい空気が入ってこない状態では、排気の流れがつくれず、換気効率は低下します。
スムーズな換気には、排気と同時に給気が行われることが重要です。

24時間換気が“空気の通り道”をつくる

高気密住宅では、24時間換気が次のような役割を担っています。

  • 給気口から新しい空気を取り入れ
  • 排気口から汚れた空気を外へ出し
  • 家の中に“空気の通り道”をつくる

この流れがあることで、レンジフードも本来の力を発揮しやすくなります。

24時間換気を止めると、空気が滞りやすくなる

「音が気になるから」「寒いから」と24時間換気を止めてしまうと、
家の中の空気は滞り始めます。

  • 湿気が抜けにくい
  • においが残りやすい
  • レンジフードの吸い込みが弱くなる

高気密住宅では、24時間換気は
空気の循環経路を確保するための重要な設備です。

高気密住宅でよくある“換気の誤解”

高気密住宅では、空気の動き方が従来の住宅と大きく異なるため、
部屋の隙間が自然換気を担っていた昔の感覚でいると換気不全を招きます。

「窓を閉めていても換気できる」は半分正解

24時間換気が正常に動いていれば換気はできます。
ただし、レンジフードのように強い排気を行う設備では、給気が不足すると性能を十分に発揮できません。

「24時間換気は止めても大丈夫」は誤解

止めると、湿気・におい・空気のよどみが一気に増えます。
24時間換気は、高気密住宅の空気環境を保全する仕組みです。

「レンジフードを強くすれば吸う」は誤解

排気量を上げても、給気が不足していれば吸い込みは弱いままです。
換気は、排気と給気のバランスで成り立っています。

高気密住宅でレンジフードを使うときの
ポイント

高気密住宅では、レンジフードの吸引力を安定させるために、少しだけ意識しておきたいポイントがあります。

給気を確保することが重要

レンジフードは、短時間に大量の空気を排気する設備です。
そのため、給気が不足すると、吸い込みが弱くなったり、煙や臭いが室内に滞留しやすくなります。

  • 給気口を閉じない
  • 24時間換気を止めない
  • 必要に応じて窓を少し開ける

このように、「空気の入口」を意識的に確保することが大切です。
ただし、
調理のたびに給気口や換気状態を気にするのは、日常生活では意外と負担になりがちです。

そこで検討したい
「同時給排気型レンジフード」

高気密住宅でより快適に使える選択肢が、
同時給排気型レンジフードです。

同時給排気型レンジフード

同時給排気型は、排気と同時に必要な空気を屋外から取り込む構造のため、

  • 給気不足を起こしにくい
  • 室内の気圧変化が少ない
  • 吸引力が安定しやすい
  • 調理中に給気を意識する必要がない

といったメリットがあります。

使うたびに「給気口は開いているか」「換気は足りているか」と気を配らなくても、
自然に換気が成立する
のが大きな特長です。
その結果、
「吸い込みが弱い」「煙が戻る」といった不満も起こりにくくなります。

同時給排気型レンジフードは、給気不足を防ぎ、
吸引力を安定させる点で非常に有効です。

同時給排気型レンジフードは、以下の機種に搭載されています。

主要メーカーと同時給排気対応シリーズ

メーカー名 主要シリーズ名 特徴
富士工業 (FUJIOH)
  • SERL
  • ADR
  • CLRV など

国内シェアNo.1。

ほとんどの現行スリム型モデルで同時給排気ユニットの設定があります。

Panasonic
  • FY-**DN4-S
  • FY-*HTC5-S
  • FY-*HGC5-S
  • FY-*HZC5-S
  • ※別売の同時給排ユニットが必要

「フラット形レンジフード」「スマートスクエアフード」の主要機種で利用可能。

専用の同時給排気ユニットを組み合わせて使用します。

リンナイ
  • TAG
  • OGR
  • XGR
  • LGR・TLRシリーズ

富士工業との提携モデルが多い。

上位機種のほとんどで同時給排気仕様(強制給気)が選択可能。

ARIAFINA (アリアフィーナ)
  • Federica(フェデリカ)など

富士工業のプレミアムブランド。

デザイン性が高く、同時給排気仕様のラインアップが豊富です。

タカラスタンダード
  • VRA
  • VRAS シリーズ

ホーロー製。

高気密住宅向けに「同時給排気タイプ」としてカタログに明記されています。

クリナップ
  • 洗エールレンジフード

フィルター自動洗浄機能付き。

同時給排気ユニットをオプションで追加可能です。

また、高層、高気密の住宅では、更に高い気密性や外風の強さがレンジフードの給気を妨げるため、給気側にも専用のファン/モーターを設け、外気を強制的に室内に送り込む強制同時給排型を設置する場合もあります。

富士工業の強制同時給排気型レンジフードのイメージ画像 富士工業(FUJIOH):強制同時給排気型

さらに、同時給排気機構を持たないレンジフードでも、給気シャッター連動端子がある機種であれば、市販の給気電動シャッターを壁に取り付けることで、運転開始・停止と同時に給気口の開閉ができる機種もあります。

給気電動シャッターの一例
Panasonic壁・天井用給気電動シャッター(常時閉鎖式)
Panasonic壁・天井用給気電動シャッター

三菱天井埋め込み型電動給気シャッター
三菱電機の天井埋め込み型電動給気シャッターの外観イメージ

尚、換気の安定性は給気側だけでなく、排気側の屋外の環境にも左右されます。

外風の影響を抑えることで、さらに安定した換気へ

高気密住宅では、外風が排気を押し戻すことで、室内の空気の流れが乱れることがあります。

  • 外風の逆流を抑える構造の屋外排気フード
  • ダンパーの適切な調整
  • 排気口の向きの見直し

こうした対策を組み合わせることで、
排気の流れが安定し、レンジフード本来の性能を活かせます。

高気密住宅だからこそ「設備で解決する」という考え方

高気密住宅では、使い方でカバーするよりも、
設備側で換気を成立させる方が確実です。

同時給排気型レンジフードは、高気密住宅の特性を踏まえた、 無理のない換気を実現する選択肢といえるでしょう。

— 高気密住宅では
“空気の通り道”の確保が大切 ―

高気密住宅は、快適で省エネ性に優れた住まいです。
しかしその反面、空気は自然には動きません。
だからこそ、

  • 給気を確保する
  • 24時間換気を止めない
  • 排気と給気のバランスを整える
  • 必要に応じて設備を見直す

こうした考え方が、住まいの空気を健やかに保つために欠かせません。
あなたの家の空気が、いつも澄んで心地よく流れていきますように。

レンジフードと24時間換気の関係

高気密住宅では、 レンジフードと24時間換気が“互いに支え合う関係”にあります。

次の章では、

  • レンジフードと24時間換気の役割の違い
  • そして両者をどう組み合わせれば、住まいの空気がもっと快適になるのか

を、さらに詳しく解説していきます。

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