1.機能優先コンパクトキッチン
リフォームの概要

 1LDKの中古マンションを購入後、住み替え前に実施した機能性重視のI型180㎝キッチンリフォーム事例をご紹介いたします。

マンションリフォーム前後の図面

 3.75帖のキッチンは

リフォーム前のシステムキッチン
リフォーム前のキッチンシンク

 11.2帖のリビングダイニングへの対面キッチンとなっています。 リフォーム前のリビング

 キッチン室の床はリビングダイニングと同じ木製フローリングですが、

リフォーム前のキッチンの床
リフォーム前のリビングの床

 今回のリフォームで共にミディアムオーク柄からメイプル柄のフローリングに張り替えました。

リフォーム前のリビングの床 リフォーム前
リフォーム後のリビングの床 リフォーム後

 新しいフローリングは表面がEB(Electron Beam:電子線)コーティングで強化されたオレフィンフィルムになっていて、擦り傷、キャスター傷、衝撃落下傷、静圧荷重傷、摩耗、汚れに強く、ワックスも不要でお手入れ簡単です。

 キッチン周囲の壁はタイル張りでしたが、キッチンパネルに張り替えました。

リフォーム前のキッチンタイル リフォーム前
キッチンパネルにリフォーム後 リフォーム後

 キッチン室の天井高は2,220㎜と低めなので、 リフォーム前のキッチン天井

既存の蛍光灯のシーリングライトをLEDのダウンライトに替えることで、天井空間を広くしました。

リフォーム前のキッチン照明 リフォーム前
リフォーム後のキッチン照明 リフォーム後

 既存キッチンはサンウェーブ製で新規はクリナップ製です。
 既存キッチンの下台は幅1,800㎜、奥行650㎜、天板高さ850㎜の開き扉タイプです。

リフォーム前のサンウェーブのキッチン リフォーム前
リフォーム後のクリナップのキッチン リフォーム後

 窓側の壁には幅200㎜、天井からの下りが375㎜の梁があり、梁下には吊戸に揃えてダミーの吊戸が付いています。ダミーなので開け閉めはできません。 リフォーム前のレンジフード リフォーム前
 レンジフードは梁を避け、幅600㎜の平型レンジフードです。タイルは梁下までしか張られていません。

 新規はお掃除しやすい幅600㎜のフラットスリムレンジフードとなり、 リフォーム後のレンジフード リフォーム後

 天井から床までキッチンパネルを貼ったので、お掃除しやすくなりました。 リフォーム後のコンロ周り

 平型レンジフードの横並びは幅250㎜高さ500㎜の片開きの吊戸、幅750㎜高さ500㎜の観音開き吊戸(耐震ラッチ無し)と続いています。 リフォーム前の平型レンジフード リフォーム前

 新規のフラットスリムレンジフードの横には幅500㎜高さ500㎜の耐震ラッチ付き片開き吊戸が2連で付きます。 リフォーム後のフラットスリムレンジフード リフォーム後

 当初、お客様は昇降式吊戸を希望されていましたが、高さ的に消防関係法令に抵触するため、水切りカウンタータイプのアイエリアボックスを左の袖壁に寄せて設置するプランを選択なさいました。 リフォーム後のキッチン吊戸 リフォーム後

 補助カウンターとして使用できる水切り棚は、ステンレス製でお手入れも簡単です。 リフォーム後のアイエリア水切り棚 リフォーム後

 リフォーム前の天板レイアウトはコンロ側の壁から幅200 ㎜のスペース、幅600㎜の3口コンロ、幅190㎜の調理台、幅750㎜のシンク、幅60㎜のスペースとなっています。 リフォーム前のキッチン図面 リフォーム前

 調理台が極端に狭いためシンク上に水切り棚を載せての使用となります。 リフォーム前のキッチン  フロアキャビネットは右から幅200㎜の片開き扉収納(引出しタイプではありません。)、続いて幅600㎜の片開き扉のコンロ台、幅100㎜のフィラー(調整材)、幅900㎜の観音開き扉のシンクキャビネットです。幅100㎜のフィラーはデッドスペースになっています。

 新規の天板はステンレス天板で、コンロ側の壁から154㎜のスペース、幅443㎜の2口コンロ、幅463㎜の調理台、幅680㎜のシンク、幅60㎜のスペースとなっています。 リフォーム後のキッチン図面 リフォーム後

 お客様は2口のコンロでの調理に慣れていて不便はなく、むしろ調理台を広くしたいとのご要望があり、幅を取る3口コンロではなく2口コンロを選ばれました。シンクも70㎜幅狭となり、調理台の幅はリフォーム前より278㎜広い463㎜となりました。 リフォーム後のキッチン リフォーム後

 下台は引き出しタイプで、耐久性の高いサイレントレール。食器洗いの時間節約のために食洗機も採用なさいました。
 新規のフロアキャビネットは、コンロ台として幅600㎜の2段のスライド収納キャビネット、横の食洗機キャビネットは幅450㎜ですがスライド収納になっています。そして、幅750㎜のシンクキャビネット。これも上下2段のスライド収納キャビネットです。
 引出しレールは弊社お奨めのレール金物が使用されています。
 デッドスペースになっていた幅100㎜のフィラーが無くなり、幅450㎜の食洗機が取り付きました。
 I型180㎝の大きさながら無駄の無いバランス良い機能性重視のキッチンに仕上がったと思います。

 早速、工事の様子をご覧いただきましょう。

2.既存キッチンの解体・撤去作業

 先ずは、既存キッチンの解体・撤去作業です。床は張り替えますので、床養生はしていません。 古いキッチンを解体する  キャビネットの扉、棚板、コンロと次々外していきます。

 最後に平型レンジフードを外せば、 平型レンジフードを外す

 残りはタイル剥がしです。 キッチン撤去後

 なるべく壁を壊さないように剥がしていきます。 キッチン回りのタイルを剥がす

 続いてフローリングの撤去です。フローリング下の置床は再利用します。
キッチンのフローリングを剥がす
フローリング撤去後

3.食洗機用専用回路工事

 食洗機用の専用回路は分電盤から壁内を通していきます。 食洗機用の専用回路工事

 食洗機キャビネットへは置床の一部を外して床下を配線します。 床下に配線する

配管工事

 新規キッチン用の配管工事も置床と壁の一部を剥がしてやり直します。 新規キッチン用の配管工事

 給水・給湯・排水配管と食洗機用専用回路の配線まで終わりました。 キッチンの給水・給湯・排水配管と食洗機用専用回路の配線

5.下台固定用木下地の設置と
ガス配管と壁・床の復旧

 壁内部にはフロアキャビネットを固定する木下地を入れます。 キッチンの木下地工事

 新キッチンに合わせてガス配管も移動します。 キッチンガス配管の移動

 キッチン取り付け前の下準備を終えたら、床下地と キッチン床下地の復旧

壁のボードは復旧します。
キッチンのボード復旧
キッチンのボードを復旧

6.キッチン対面カウンター
開口枠塗装

 続いて対面キッチンの鋼製開口枠を塗装し直します。先ずはヘラやペーパーを使って表面の錆、汚れを落とします。
シンク前の鋼製開口枠を塗装
塗装する前に表面の錆や汚れを落とす

 旧塗膜の劣化した部分を研磨したところです。 旧塗膜の劣化した部分を研磨したところ

 一通り研磨した後で、目立つ凹みはパテで補修し、仕上げ色に合わせてアイボリーホワイトの錆止めで下塗りしていきます。 凹みをパテで補修する

 錆止めの下塗りを終えました。 錆止めの下塗り後

 乾燥を待って仕上げ色による中塗りです。
仕上げ色の中塗り
中塗り後

 中塗りの乾燥を待って上塗り(仕上げ塗り)です。 仕上げ塗り

 鋼製開口枠塗装は下地処理→錆止め(下塗り)→中塗り→仕上げ塗りで終了です。
枠の塗装後
枠の塗装後

7.ダウンライト用配線工事

 キッチンの天井はダウンライトを埋め込む穴を開け、シーリングライトで使っていた配線をダウンライト用に転用します。 キッチン天井の照明工事

 作業用の仮設照明を付けて内装仕上げを待ちます。 新規の配線と仮設照明

8.キッチン床フローリング貼り

 続いては置床の上にフローリングを張っていきます。置床の場合、写真の状態(パーチクルボード)の上に合板を下張り後、仕上げのフローリングを上張りする方が多いのですが、今回は他との兼ね合いもあり、新築時と同様、既存パーチクルボードの上に直接仕上げフローリング材を張っていきます。 キッチンの床下地

 採寸し、フローリング材をカットしていきます。
フローリングを切る
キッチンの床材を切る

 貼り方も新築時同様、ボンド併用ステープル留めとします。

ボンド併用でキッチンの床を張る
キッチンの床を貼る

 ドア枠下部は枠に合わせて加工します。 キッチンのドア付近の床材を加工する

 フローリングを張り終えました。
 EB(Electron Beam:電子線)コーティングで強化されたフローリングは通常の突板フローリングよりもしっかり感がある仕上がりです。 フローリングを張り替え後

 壁と床との取り合いには木巾木を張っていきます。 木巾木を張る

 巾木を終えたら床を養生しキッチンの設置を待ちます。 床を養生する

9.新規キッチン搬入

 朝一番、組立部材の搬入です。
システムキッチンの搬入
システムキッチンを運ぶ

 天板の取り付けは作業終盤なので共用通路に残置します。 搬入されたキッチンの天板

10.キッチンパネル貼り

 作業の手始めはキッチンパネル貼りです。梱包を開けます。
キッチンパネルの梱包を開ける
キッチンパネルをカットする

 壁の大きさを採寸し、パネルをカットしていきます。

キッチンパネルの寸法を測る
キッチンパネルを切る

 シンク側の袖壁から貼っていきます。 シンク側の袖壁からキッチンパネルを貼る

 梁下からタイル張りとなっていたコンロ側は、梁下だけでなく、梁天井、梁成(はりせい)にも貼っていきます。
 先ずは梁下です。接着は両面テープとボンドを併用します。 両面テープとボンドを併用してキッチンパネルを貼る

 続いて梁成部です。 梁にキッチンパネルを貼る

 最後に梁天井です。 梁天井にキッチンパネルを貼る

 キッチン背面にも貼ります。 キッチン背面のキッチンパネル貼り

 レンジフードを取り付ける前に、開口枠周りや梁下などレンジフード取り付けと絡む部分は先にシールを打設します。 キッチンパネルまわりのシール打設

11.フラットスリムレンジフード
の取り付け

 設置前にレンジフードのフェイス部分を傷養生します。 レンジフードのフェイス部分を傷養生する

 準備が出来たら取り付けです。

レンジフードを取り付ける
レンジフードを取り付ける

 リフォーム工事ではダクトに断熱材を設置しない業者が多いのですが、新たなスチールフレキダクトにも断熱材を巻き付けます。 ダクトに断熱材を巻く

12.吊戸取り付け

 続いて、レンジフード横に吊戸を2連取り付けます。形状は同じですが、コンロ寄りはキャビネットの底板が不燃板になっています。 底板が不燃の吊戸棚

 開口枠の上に乗せるようにしてレンジフードと吊戸を取り付けていきます。幅、高さ共、丁度良い寸法です。

底板が不燃の吊戸棚を取付
シンク上の吊戸棚取付

 取り付け後、開口枠との取り合いをシールします。 開口枠との取り合いをシール打設

13.アイエリアボックスの取り付け

 アイエリアボックスは吊戸の底板に取り付けます。今回は吊戸の前寄りに取り付けます。 アイエリアボックスを吊戸の底板に取り付ける

 アイエリアボックスは調味料タイプ(左)と水切りタイプ(右)の2種類があります。 2種類のアイエリアボックス  可動棚板は吊戸下から42㎝の高さまで簡単に降ろすことができます。

 お客様がお選びになったのは、水切りタイプで、棚が穴あきのステンレスプレートになっています。
 調理器具の水切りや調理中の仮置きカウンターとしても使用でき、穴あきプレートの下に水受けトレーが付いていてお手入れも簡単です。 水切りタイプのアイエリアボックス

 小さなものならボックス内に格納できます。 アイエリアボックスを閉じた場合

 照明の有・無はお選びいただけます。 手元照明付きアイエリアボックス  スイッチの裏側にLED照明が付きます。

14.下台(フロアキャビネット)
の据え付け

 吊戸類の設置を終えたところで、下台(フロアキャビネット)の据え付けに移ります。 キッチンのフロアキャビネットを運ぶ  コンロ台、調理台、シンク台と並べていき、

隣り合うキャビネットはビスで結合し、木下地を入れた背面の壁にもビス留めします。

キャビネットをビスで結合する
下台を設置

 天板をのせ、 キッチンの天板をのせる

キッチン水栓を取り付け、 キッチン水栓を取り付ける

食洗機を入れ込みます。 食洗機をキッチンに取り付ける

 レンジフード上を塞ぐ幕板に固定金具を取り付けます。 レンジフードの幕板に金具を付ける

 幕板を取り付けたら、吊戸扉の吊り込み調整をします。 吊戸扉の吊り込み調整をする

 だいぶ形になってきました。作業も終盤です。続いては2人掛かりでシールを仕上げていきます。 キッチンの組立がだいぶ終わった様子

 天板周りでは一方がコーキングを打設しながらヘラで均していき、 キッチンまわりのコーキングをヘラで均す

もう一方がマスキングテープを慎重に剥がしていきます。
コーキングのマスキングテープを剥がす
コーキング養生のマスキングテープを剥がす

 コーキングに乱れはなく、綺麗に仕上がりました。 コーキングが打設されたシンク横

 シール作業後は硬化前のコーキングに埃が付かないように、ピンクの養生テープで埃養生をし、 コーキングの養生 スライド収納の引き出しの調整等、

最終点検し、 キッチン設置の最終点検

天板を養生すればキッチン据え付け作業は終了です。
キッチンの天板に養生をする
養生されたシステムキッチン

15.内装工事

 今回、壁紙はキッチン据え付け後に貼っていきます。
 既存の壁紙を剥がした後、天井・壁の不陸をパテで補修していきます。 キッチン回りの壁のパテ打ち

 シーリングライトをダウンライトに変更する際に開口した天井部分も塞ぎ、こちらもパテで補修します。 天井開口部のパテ補修

 塞いだ部分と周囲の天井の取り合い部分にメッシュを貼り、パテが硬化した際の強度を高めます。 天井の補修後

 パテを塗り込み 天井のパテ打ち

硬化を待ちます。 キッチン天井のパテ打ち後

 一度のパテで不陸が納まらない場合、パテ処理は幾度か繰り返されます。

二度目のパテ打ち
キッチン天井のパテ打ち後

 結局、この場は3度のパテ処理をしてから、張り始めることとなりました。 キッチン天井の壁紙を貼る  弊社では壁紙の端部には、剥がれ防止のためのコークボンドを先打ちして接着強度を高めています。
 火災報知器、ドア枠、窓枠との取り合いや天井と壁、壁と壁との入隅なども同様です。

 天井、 キッチン天井に壁紙を貼る

梁・壁と貼り進めていきます。

キッチンの梁に壁紙を貼る
キッチンの壁に壁紙を貼る

 キッチン左側の袖壁は壁紙施工後、キッチンパネルとの取り合いにジョイナーを取り付けます。 キッチンの袖壁

 取り合い部にボンドを塗布して 取り合い部にボンドを塗布する

 出隅ジョイナーを差し込んでいきます。

出隅ジョイナーを差し込む
キッチンの袖壁を仕上げる

 キッチンパネルと壁紙は出隅ジョイナーで見切りました。 袖壁の仕上がり後

16.ダウンライトの取り付け

 壁紙の施工を終えたらダウンライトの取り付けです。 ダウンライト取付

 キッチンの主照明は蛍光灯のシーリングライトからLEDのダウンライトに付け替えられました。

リフォーム後のキッチンダウンライト リフォーム後
リフォーム前のキッチン照明 リフォーム前

 天井の大きな照明が外されると圧迫感がなくなりました。

リフォーム後のキッチン照明 リフォーム後
リフォーム前のキッチン照明 リフォーム前

17.機能優先コンパクトキッチン
リフォームの完成

 中古マンションを購入後、機能重視の180㎝I型キッチンリフォームの完成です。

システムキッチンリフォーム後 リフォーム後
システムキッチンリフォーム前 リフォーム前