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クローゼット内の壁の断熱と防露・防カビリフォーム
マンションのクローゼットや収納内部ではカビ被害がよくあります。こちらのマンションでは、躯体コンクリートの内側に発泡ウレタンが吹き付けられていて、内壁との間で断熱処理が施されています。発泡ウレタンの厚みが不十分だったり、欠損があると内壁の石膏ボードまで冷やされて石膏ボードに貼られたクロスに結露が生じることがあります。特に北側の外皮の躯体コンクリート壁を背にして造られたクローゼットや収納では、結露による湿気のためかびが発生します。
今回は洋室の断熱・防カビリフォームの一環として実施したクローゼット内の壁の断熱と防露・防カビリフォームをご紹介いたします。
リフォーム前のクローゼットは一見普通ですが、よく見ると下部の左右の壁紙が浮いています。
リフォーム前
リフォーム後
折戸を開くと
内部は全体的にカビていて、壁紙表面だけでなく、壁紙下のボードまでカビています。
リフォーム前
リフォーム後
こちらのクローゼットの左右と背面の壁は外皮の躯体に面しています。
これ位カビが繁殖している場合は、クローゼット内部はかなりの多湿状態になっています。
そこで、壁に断熱処理を施し、結露を防止することで防カビ効果を高めます。
今回のリフォームでは、クローゼット内部だけでなく部屋の外皮に面する壁には全て断熱材を入れ込みます。
また、クローゼット扉は部屋内側に開く折戸から、スライド開閉で省スペース型の3枚連動引き戸に替え、内部はシステム収納を使って枕棚とハンガーパイプを取り付けます。
もちろん、天井・壁の壁紙、床のカーペットも張り替え、幅木は新たに取り付けます。
それでは、作業をご紹介しましょう。
1.カビ取り・除菌処理
クローゼット扉と内部造作を解体し、壁紙とカーペットを剥がした後に天井・壁・床はカビ取り・除菌処理をします。
外皮に面する壁には新たに断熱壁を造作するので、既存の壁は内側に隠れますが、カビ取り・除菌・防カビ処理はします。
カビの繁殖状況が酷い場合、カビ取り・除菌処理は繰り返します。
2.2度の防カビ処理
カビ取り・除菌処理後、床と石膏ボードの乾きを待って、弊社では2度の防カビ処理を実施しています。防カビ薬剤を満遍なくいき渡らせ、防カビ処理層を塗り重ねることで再発防止効果を高めています。
1度目の防カビ処理後、完全乾燥したところで湿気で錆びたビスや釘に錆び還元処理を施します。
その後、2度目の防カビ処理を実施します。
ジェットヒーターや大型のサーキュレーターなども使って乾燥させます。
3.エアコン撤去
古いエアコンは省エネ係数が低く、カビの胞子を吸い込んでいる可能性も高いので
防カビ内装リフォームを機に交換されるケースもままあります。
室内機と
室外機の撤去作業
4.石膏ボードの壁への
パネル貼り付け
今回、断熱材は既存の壁に新たに木下地を取り付け、固定した木下地間に入れ込んでいきます。
マンションの内壁の作り方の一つにGLボンド工法があります。GLボンド工法とはコンクリートの壁の躯体にGLボンドと言われる接着剤を団子状にして約20㎝間隔で塗り付け、石膏ボードを貼り付けていくものです。
こちらのマンションも同様な造りですが、GLボンド工法で固定された石膏ボードには釘やビスが効きません。そこで、木下地を固定する既存の壁へと事前に防カビ処理したパネルを張り付けて、そこに木下地が固定できるようにします。
先ずは、貼り付ける大きさに切ったパネルに接着剤を塗布し、
縦張りしてある既存の石膏ボードと直交させ、ステープル併用で横張りしていきます。
こうして、石膏ボードとパネルを一体化させることで木下地(間柱類)を固定する下地として利用します。
5.間柱(新規石膏ボード取り付け用
木下地)の取り付け
既存石膏ボードへのパネル貼り後、新規の石膏ボードを留める木下地(間柱)を取り付けていきます。
間柱類も事前に防カビ処理済みで、天井、壁、床に留めていきます。
6.断熱材の敷設
間柱(木下地)取り付け後、間に断熱材を入れ込んでいきます。
木下地間の寸法を測って、断熱材を切断します。
切断した断熱材は木下地との間に隙間無く入れ込んでいきます。
断熱材の入れ込み完了です。木下地はクローゼット内部のシステム部材を固定する位置にも入れられています。
7.石膏ボード張り
続いて、新規の石膏ボードを貼っていきます。石膏ボードも事前に両面とも防カビ処理済みです。
壁の石膏ボードを貼り終えました。
既存の壁を活かしたまま断熱材を入れ込む場合は、解体工事も少なく、建築産業廃棄物処理費は低く抑えられますが、断熱材の厚み分若干部屋は狭くなります。
8.クローゼット枠の取り付け
クローゼット枠固定用の木下地は、クローゼットの内部奥行寸法がハンガー掛けに必要な560㎜を確保できる位置とします。
クローゼット右手の壁もそれに合わせてふかしていきます。
木下地が取り付けできたところでクローゼット枠を固定していきます。
枠固定後、上レールを取り付け、引戸扉の戸先が戸当たりに近づいた際に引き込む『引き込みキャッチ』も取り付けます。
『引き込みキャッチ』は扉の跳ね返りを防ぎます。
続いて、上枠と天井との隙間に入れる隙間調整材を加工し、
取り付けます。
最後に敷居にレールをはめ込めば、枠付けは終了です。
9.クローゼット右手壁の造作
次に、クローゼット右手の壁に断熱材を入れ込みます。
こちらの壁はクローゼットの枠位置に合わせて、他より壁厚が厚くなるため厚みのある断熱材を使用しています。
断熱材が入れ込めたら石膏ボードを張っていきます。
10.クローゼットの内部造作
クローゼットの内部造作はシステム収納を使います。
先ずは天板を載せる受桟とⅬ型金具を予め仕込んでおいた木下地に固定します。
次にL型金具と受桟に天板を載せビスで固定します。
続いて、中央の柱(スタッド)を位置決めし、仮留めして天板までの長さを測ります。
リフォーム後のクローゼットの床はカーペット敷きとなるので、スタッドの足元にはカーペットを挟み込んで高さを当たります。
長さを詰めて、本設です。
位置決めしたスタッドの足元をビス留めし、
スタッド上部の棚受け金物もビス留めします。
スタッドが固定出来たら、右側の天板も固定していきます。
最後にハンガーパイプを取り付ければ、内部ユニットの組み立ては終了です。
11.幅木の取り付け
木工事の締めくくりは幅木の取り付けです。リフォーム前のクローゼット内には幅木はありませんでした。
リフォーム前
洋室には幅木がある方が床と壁との取り合いが綺麗に納まります。
寸法を当たって幅木を切断し、
接着剤を併用して、フィニッシュネイルで留めていきます。
12.引戸扉本体の取り付け
開梱後、
扉上部にガイドピボットを取り付け、上レールの連動ユニットのピボット受に差し込み、
下レールに建具の戸車を載せていきます。
引手は指はさみ防止に配慮した形状となっています。
引戸扉と縦枠に隙間が出ないように建て込み調整をします。
引戸ユニットはワイヤーによる連動方式で3枚の扉がシンクロして開閉します。
扉の開け閉めは左右どちらかの扉を1枚引くだけで、1枚目の扉を引くと2枚目の扉も連動して同時に開閉します。
折戸と違い、3枚連動の引戸扉は開けた時に、扉が手前に出てこないので、部屋が広々使えます。
13.内装工事
壁紙を張る前に、石膏ボードの継ぎ目や不陸のある部分にはパテを打って平らに均します。
パテはオリジナル防カビパテを使います。
まずは初回の粗い粗(あら)パテを打ちます。
粗パテが乾いたところで、仕上げパテです。
仕上げパテにもオリジナル防カビ剤が配合されています。
粗パテと仕上げパテを塗り重ねることにより防カビ層が厚くなります。
仕上げパテが乾くのを待つ間に壁紙に糊付けします。防カビリフォームではオリジナル防カビ糊を使用します。
乾いたパテは平滑に研磨します。
枠との取り合いや壁・天井の入隅にはコークボンドを先打ちします。
壁紙は天井から壁へと貼り進めます。
壁紙を貼り終えた後、壁紙の表面にも防カビ剤を塗布します。
14.カーペット張り
壁に断熱材を入れ込んで壁の位置がずれたのと、クローゼット扉も交換したので、カーペットを固定するグリッパーは一部付け直します。
クローゼット内部は元々カーペット直貼りでフェルトはありませんでしたが、新たに敷設します。
カーペットはクローゼット内部の広さよりも若干大き目にカットして、
張り込んでいきます。
カーペットを張り終えたら、外しておいたスタッドとハンガーパイプを戻します。
カーペットの仕上がりです。