ヘーベルハウスの外壁には、無数の縦・横の線があります。
この線は溝になっていて『目地』といいます。
この『目地』で外壁をデザインしています。デザインは建物のシリーズ毎に異なりますが、 この建物では、横目地を7本幅狭に並べ、遠目に見ると建物全体が横縞模様になっています。
へーベル板の規格の大きさは、横巾が約30、45、60cmの3種類で長さは約3mです。
これを縦使いにして横に並べてあります。
図中の赤い目地部分は窓等の開口部サッシとの取り合い部分と、へーベル板の継ぎ目(板間目地)で、屋内への雨水の浸入を防ぐため、弾性のあるコーキング(継ぎ目に充填し、硬化すると弾性があるコーキング材)が打設されています。このコーキングが、ヘーベルハウスの特長の一つでもあり外壁の防水の要ともなっています。
コーキングのことをシールとかシーリングなどという場合もあります。
コーキングが打たれた目地の表面は 新築当時のままの場合、吹き付け模様となっています。 これは、コーキング処理後に吹き付け塗装を施すからです。
コーキングが打たれた目地を近くで見てみましょう。
ヒビが見えますね。
シャッターボックスと外壁との取り合い部の黒いコーキングはシャッターボックスと剥離しています。
以前、外壁面には耐久性の低い材料を使用していたため、5年ほどで劣化が始まりました。劣化すると痩せて塗膜表面にヒビが入ります。 更に劣化が進むとヘーベル板と剥離したりもします。剥離して深い亀裂が入ると、雨漏りの原因になります。 症状が軽い表層のヒビ割れの場合は、ヒビの上にコーキングを増し打ちすることで次回の改修までもたせることができます。
こちらのお宅は、全面増し打ちを実施することになりました。
コーキングの劣化は、方角や建物周囲の状況によっても異なりますので、劣化が進んでいる箇所については一旦撤去して打ち替えが必要です。 その分、改修費用はかさみますが、コーキングは外壁部の防水の要となっているのでしっかり施工することが何より肝要です。
ちなみにこのお宅のコーキングは総延長713mにもなります。ヘーベルハウスは、他の構造の住宅に比べてコーキング箇所が多いうえに、 目地幅も広く、深さもあるので、相当量を使います。延べ床面積が同じぐらいでも、外壁がサイディングの建物と比較すると約5倍の量にもなります。
全体的に劣化が進んでいる場合は時間を掛けて慎重に作業します。というのも、破断・剥離の進行具合は、外観の目視だけでは確認しにくいからです。
破断・剥離箇所は全箇所チェックを入れ
傷みの進行具合に合わせた処理をしていきます。
漏水箇所や完全に破断している箇所は下のように全撤去して打ち替えます。
コーキング処理の要は、傷んだところを見逃さない、やり過ごさないということです。
何度も申し上げますが、ヘーベルハウスの場合、壁面の防水はコーキングが要となります。監督・スタッフ全員が劣化部分に目を光らせて作業にあたります。
窓の周囲をご覧ください。
コーキングがサッシに付かないようにマスキングテープで養生(青い部分)がされています。
窓廻りのマスキングテープ養生は繊細な作業です。というのも、サッシ部分にコーキングが付着し過ぎると化粧額縁の再取り付けに支障をきたすからです。
下は、コーキングの密着性を高めるシールプライマーを塗布しているところです。 シールプライマーは目地いっぱいに塗り込みます。
近くで見るとシールプライマーを塗布したところは周りより色が濃いのが分かります。
コーキングを増し打ちする亀裂の入った縦目地の部分と交差する横目地(飾り目地)の左右方向にも塗られています。
プライマーが乾いたら、コーキングを打設していきます。
これは、専門職が使う道具のヘラです。年季が入っています。
道具は店で売っているものをそのまま使うわけではありません。目地の形状に合わせて、ヘラ先はシートで加工します。
目地の形状に合わせてヘラ先をシートで加工し、圧が均等に掛かるようにします。大きいヘラは、擦り込む際、漉き取った余分なコーキングをなすりつけるのに使います。
人数を投入して作業する際は、『サッシ周りの養生』、『シールプライマー塗布』、『コーキング打ち』、『均し』に作業分担します。 下はコーキングを打ちこんでいるところです。 高モジュラス(弾性の高い)型のノンブリードタイプ(塵埃などが付着して汚損しないタイプ)のコーキング材を使います。
打設したコーキングを目地に合わせてヘラで均していきます。 飾り目地(横目地)部分も均すので、飾り目地が多いほど作業は増えます。
縦目地も横目地もコーナーも適量で均一になるように打ちます。
後から化粧額縁やシャッターレールを取り付けるサッシ廻りです。
3階バルコニー周りのコーキング作業を終えました。
床の防水シート立ち上がりの部分にもコーキングが打たれています。(マスキングテープは剥がす前です。)
縦目地でもヘーベル板の板間目地には打ちますが、化粧目地には打ち込みません。
換気ガラリ周りです。
霧除け・シャッターボックス周りです。リフォーム前は黒いコーキングが打たれています。
バルコニードア周り
建物全体のコーキングが仕上がりました。
出窓周りです。
縦樋のドレン周りです。
勝手口ドア周りです。
バルコニーの笠木手すりの連結部分です。アルミ笠木は塗装しないので、笠木の色に合わせた色を使います。 ヘーベルハウスは目地量が多いので、打ち忘れが無いようにスタッフ全員でチェックして回ります。
ヘーベルハウスのリフレッシュ工事で肝となるコーキング処理についてご説明いたします。 ヘーベルハウスのコーキングが、経年劣化することはご説明いたしましたが、劣化は場所等の状況により異なります。
以下をご覧下さい。
化粧額縁を外した窓の上部を拡大したところです。
築後15年~18年程度で実施する初回の外装リフォーム時には、たいていこのようなひび割れが確認できます。
下の写真もご覧ください。化粧額縁が付いているところと撤去したところを並べてみました。
窓上の化粧額縁はコーキング部分を覆うように付けられているので化粧額縁を付けたままでは適正にできないのがお分かりいただけると思います。
また、化粧額縁を付けたままでコーキングを打ってしまうと額縁と躯体がコーキングで固着し、切り取らないと外せなくなりますし、額縁は塗料とコーキングで汚損されてしまいます。なので、以下のように窓周り部材を外してしっかり増し打ちすることが肝要なのです。
四方の化粧額縁を外した上げ下げ窓
上と左右の化粧額縁を外したバルコニードア。
左右のシャッターレールを外した窓 電動のシャッターの場合はレールに配線が組み込まれている場合もあるので闇雲に外すことはできません。慎重な作業とコツが必要です。
業者の中には、コーキング処理そのものを省略したり、化粧額縁やシャッターレール等の窓部材を外さず窓部材に被せてコーキング処理し、上から塗装する業者もいます。
例えば、下の写真は別の現場ですが、シャッターレールの脇の化粧額縁を撤去しないままコーキングが打たれ、塗装されています。
このようなやり方をしてしまうと、窓のサッシとコーキングの取り合い部分の劣化部分にコーキングが塗り込めないため、亀裂が補修されません。
また、いざ窓周り部材を外そうとしても、コーキングと塗膜で部材が固着しているため、切り取るにも一苦労で、部材に付着した塗料とコーキングは簡単には除去できません。
中には、以下のように定期点検の際や雨漏れ補修、多彩吹き塗膜の補修の際にも窓周り部材を外さずに上から被せてコーキング処理をしてしまうケースがあります。
シャッターレールを外さずにコーキングを打設したケースです。 打設しただけで、未塗装なので外壁部分と色も合っていません。
弊社ではヘーベルハウスの外装リフレッシュ工事を経験している職人たちが作業しますので、メーカーの標準施工の遵守はもちろんのこと、それ以上の作業にも努めています。
『ヘーベルハウス フレックスⅢ 外装リフレッシュ工事 』
『5.コーキング打設編』をご覧いただきましてありがとうございました。
この続きは『6.塗装下地処理(ケレン清掃)編』をご覧下さい。
以下では『ヘーベルハウス フレックスⅢ 外装リフレッシュ工事』の『作業の流れ』と『部位別ビフォーアフター』をご紹介しています。 ヘーベルハウス フレックスⅢにお住まいの方は是非ご覧下さい。
住まいるパートナーでは、旭化成リフォームさんでの外装リフレッシュ工事経験者が作業にあたります。ご相談はメーカー施工の良し悪しに詳しい建築士アドバイザーがメーカー施工の長所短所を見極めて、良いとこ取りしたご提案を差し上げます。
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旭化成ヘーベルハウス
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