左右の壁間の間口に合わせて幅ピッタリに広げたキッチンリフォーム
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このウェブページでは、弊社が施工した『幅1,950㎜のキッチンを壁々間ピッタリの2,535㎜のキッチンに入れ替えたLDKリフォーム』について
『作業の様子』をご紹介しております。
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ご希望の方にはリフォーム工事もお受けしています。
通常、キッチンの周囲の壁に貼るキッチンパネルは組立工が組立同日に施工します。
今回リフォームしたマンションでは、1日の工事時間が短いので、
事前に大工にできるだけ貼ってもらうことで時間をやり繰りしました。
コンロ脇の壁はGLボンド工法で接着された耐火ボードにタイルが貼られています。
GLボンド工法とは、躯体のコンクリートに石膏系接着剤を団子状に塗り付けて
内装のボードを貼り付ける工法です。(ボード1枚に対しては団子状の石膏系接着剤を43個塗り付けるとされています。)
タイルを剥がすとボードが壊れて、下地の復旧に手間取る恐れもあり、 既存タイルの上にキッチンパネルを貼っていくオンタイル工法で施工することとしました。
先ずは梁下から張っていきます。
梁下から床までを採寸し、
パネルを切断します。
納まりが確認できたら、
両面テープと接着剤を併用して貼り付けていきます。
両面テープは接着剤が硬化するまでの接着力を保持するために使用します。
タイル壁の時より10cmほど幅広になりました。
続いて、コンロ前、
袖壁と張っていきます。
中央のパネルと左方梁のパネル(見えませんが)を除いて
およそ貼ることが出来ました。
この後、キッチン組立工がリレーします。
キッチン組立に先立ちフロアタイルで仕上げた床は養生し直しています。
養生は工事完了まで、やり替えが何度も必要な場合もあります。
組み立て前のキッチンパーツは場所を取るので、
全て搬入できない場合あります。
作業スペースの確保は作業効率にも影響するので、
荷物の仮置きは大切な一仕事です。
搬入を終えたところで、 大工からリレーされた残りのキッチンパネル貼りを始めます。
左方梁部分のパネルと
正面中央のパネルに分かれて作業します。
梁部分を採寸し、真物を寸法に切り落としていきます。
切断面はペーパーヤスリでバリを取り除き、再度あてがって寸法を確認します。
キッチンパネルは両面テープと接着剤を併用して張っていきます。
しっかり叩いてよく圧着します。
パネルとパネルの取り合い部分にはシールを打設します。
目地を綺麗に仕上げるためマスキングテープで養生してから打設します。
レンジフードの背面にはレベル調整のためのパネルの端材を張り、
それからレンジフードを取り付けていきます。
レンジフードを引掛けるビスの位置は水平器を使って墨出しします。
ビス位置がずれないように下穴を開けてからビスを仮留めします。
仮留めしたビスにレンジフードを掛け、
レンジフードの下端左右にリフターを当て、
水平器で高さを確認しながらビスを本締めします。
次にレンジフードの排気口に接続部材を取り付け、スチールフレキシブルダクトを接続し、断熱材を巻きます。
ダクトや断熱材は、仕上がってしまうと外部からは見えなくなってしまう部分でもあるので、 リフォーム工事で、断熱材を設置しない業者も多くいます。
弊社では、安全性と共に、排気音低減の防音材としても
断熱材を巻き付け、快適性を高めています。
また、消防関係法令で設置が義務付けられている場合もあるので、
消防検査の有無にかかわらず法令は遵守すべきでしょう。
続いて、レンジフードの横へと吊戸を取り付けていきます。
幅300㎜と1,350㎜の吊戸を並べて設置します。
吊戸の高さは600㎜です。
先ずは幅300㎜の吊戸です。
レンジフードの下端に揃えて設置します。
続いて、幅1,350㎜の吊戸です。棚下灯取り付け位置に配線の逃げ加工をしておきます。
キッチンの吊戸やレンジフードのサイズは 通常、規格で決まっているので、 間口ピッタリに組み合わせられるとは限りません。
フこちらでも袖壁との間に13cm程の隙間ができます。
そこで、1,350㎜の吊戸の右側には、 扉・底板と同じ面材のフィラー(隙間材)を取り付けます。
先ずは、フィラーの木片を仮留めした木下地を取り付け、
木下地取り付け後、フィラーの木片だけを外します。
左の300㎜の吊戸に揃えてあてがってみます。
吊戸右端の木下地が見える部分が袖壁との隙間部分です。
吊戸の固定は、不陸があるので、パッキンを差し込んでビス留めします。
その間、他方は先ほどの下地に底板のフィラーを取り付けていきます。
こうすると、1,350㎜の吊戸の底板とフィラーがピッタリと揃います。
次に扉面材のフィラーの取り付けですが、
吊戸の扉とフィラーの前面(まえづら)の出を揃えるために
吊戸に使われているのと同じパッキンをフィラー裏面に貼り付けてから取り付けます。
袖壁との隙間がフィラーで納まりました。
吊戸内を一旦清掃し、中板を設置してから、
扉を吊り込んでいきます。
間口いっぱいに吊戸が付きました。
吊戸の設置をおおよそ終えたところでフロアキャビネットに取り掛かります。
先ずはコンロキャビネットからです。開梱して、近くまで運びます。
ガス管を通す穴を開け、
開口した穴にガスホースを通して、コンロキャビネットを寄せます。
続いて、隣に調理台キャビネットを置いてみると、
どうもしっくり納まらない。
レーザー水準器をあてて確認してみます。
するとどうでしょう、ガス台側の床がシンク側よりも25㎜程高くなっています。
僅か幅2.5mの距離で25㎜の高低差、1/100の勾配があるわけです。
これが、リフォーム前に天板から水がこぼれ落ちていた原因です。
勾配なりにキッチンを据え置けば、
天板上にできた水溜まりは流れ出します。
新築の時からだったのか?後に何らかの影響で傾斜ができたのかは、分かりませんが、 そのまま使っているとこんなに傷めてしまうのですね。
キッチンが水平に据え付けられていないと、 扉やレールにも不具合が出やすくなります。
勾配のある床へはキャビネットの据え付け面に
パッキンを入れ、高さを水平に合わせてから据え付けていきます。
隣り合うキャビネット双方の足元にパッキンが掛かるようにして連結していきます。
良い感じに連結できました。
右端は最も低い位置になるシンクキャビネットです。
キャビネットを据え置く前に食洗機キャビネットから給水・給湯・排水配管までの距離を測り、
シンクキャビネットの底板に配管を通す穴を開けます。
続いて、キャビネットの足元にパッキンを取り付けます。
設置は二人掛かりで行います。
一方が支えている間に、他方が下から配管を穴に通します。
配管を納め、食洗機キャビネットと連結します。
フロアキャビネットを連結し終えたら、続いて天板の取り付けに掛かります。
天板は事前に室内に入れると、身動きが取れなくなることもあるので、 集合住宅では据え付けの時まで共用通路に置かせてもらうケースもあります。
共用通路に仮置きしていた天板の梱包を解き、
2人掛かりで室内に入れ込みます。
袖壁との取り合いは、エンドパネルの厚み分空いています。
フロアキャビネットの右脇は吊戸同様、フィラーで隙間を無くします。
フロアキャビネットへの納まりを確認し、天板をビスで留めていきます。
レンジフードと吊戸上部の下り壁の段差がどうもしっくりきません。
そこで、レンジフード上の前幕板の納め方を検討します。
レンジフード上の前幕板は、吊戸扉の上端(うわば)と揃うようにします。
先ずは、レンジ上の下り壁の一部を切り取ります。
隣の吊戸の側板に幕板を留める下地を取り付けます。
続いて、吊戸扉の高さを採寸し、
幕板を丸ノコで切断します。
次に、切断した幕板をあてがって梁型を採寸します。
梁欠き加工です。
取り付けてみます。
ピタリと納まりました。
梁下のスペースを利用することで、レンジフードは一サイズ大きい750㎜となりました。
こうすると、前幕板の高さが吊戸の扉に揃って見映えがしませんか?
天板が固定出来たところで水栓金具を取り付けます。
天板の上から水栓金具を差し込み、シンクキャビネットの下から固定します。
ガスコンロも天板の開口部に入れ込んで固定します。
ガス管と引き出しの収納物の緩衝を避ける配管カバーも取り付けます。
設置できました。
ガス管の接続は組立後にガスの供給会社が実施します。
吊戸の際(きわ)から出した配線に棚下灯を接続し、固定します。
動作試験もOKです。
コンセント付きの棚下灯です。
食洗機本体はキャビネット奥の固定金具に挿入して取り付けますが、
本体背面から給湯ホース、排水ホース、電源ケーブルがでているので、 一人での作業は手間取ります。
二人いると一方が下から配管ホースとケーブルを誘導しながら、
他方が本体を押し込めるので、
手早くできます。
キッチンリフォームの際に食洗機を導入する場合は、 引出し扉をキッチンの面材と揃えることもできます。
面材の裏側に両面テープを貼り、
前面扉の左右両側のカバーを緩め
面材を差し込んで、元に戻せば
扉面材仕様になります。
さて、下台と袖壁の隙間を納めていきます。
シンク側の床がコンロ側より約25㎜も下っているケースはそうそうありません。
床の勾配が大きい場合、低い側のキャビネット下に介物をして水平に設置すると、
下駄を履かせた格好となり、定尺のエンドパネルをそのまま並べて床に置くと
このように潜ってしまいます。
これでは格好悪いので、パネルを加工します。
この位の高さに持ち上げたいところですね。
❝ フムフム…。❞
❝ なるほど…。❞
袖壁に隠れるパネルの一部を切り取り、
袖壁より前に出るパネルの下端に継ぎ足すことにしました。
奥側のパネルの一部をカットします。
正面の木口には面材と同じ柄の木口テープを貼ります。
エンドパネルが加工できたところで、シンクキャビネットの右側をフィラーで納めましょう。
隙間の幅に合わせて、フィラーをカットします。
フィラーの裏側にあらかじめ木下地を取り付け
シンクキャビネットの側面に固定しておきます。
続いて、キッチンパネルが貼られた袖壁の出隅に
パネル用のコーナー見切りを取り付けます。
引出しの扉とフィラーの面材の出が揃うように調整用パッキンを貼り付けます。
フィラーの裏側からビスを留める下穴を開けておきます。
続いて、扉面材を隙間寸法に合わせて切断し、
扉面材の木口にも同色の木口テープを貼って、
先ほど開けた下穴を利用してビスで留めます。
続いて、エンドパネルの取り付けです。
先ずは、先ほど加工した高さ調整用のピースをパネルの手前側に貼り付け、
天板と袖壁の間に入れ込んでみます。
エンドパネルは天板よりも上がって、見栄えが良くなりました。
上から見ただけでは継いだのが分からないほどに仕上りました。
さて、水平に設置するため、キャビネット下にパッキンを入れ込んだので、
床との間には隙間が空いています。
キッチンメーカーの不陸調整材にも限度があるので、
今回は使えません。
また、水がこぼれた際にキッチン下に入り込むのを防ぐ処置も必要です。
そこで、コーキング材を充填することにしました。
コーキング材とは継ぎ目・すきまに注入するペースト状(流動性のある状態)の材料で 硬化すると弾性をもち、液体や埃などの浸入を防げます。
コーキング材をそのまま打ち込むとどんどんキャビネット下に入ってしまうので、
一定の深さ以上に入らないようにバックアップ材を詰めてから打設します。
余分なところにはみ出さないように、マスキングテープで養生します。
準備完了です。
色はキャビネット色に合わせたので、言われなければ気付きません。
タップリ幅広に充填し、
ヘラで平らに均していきます。言うは易く、行うは難しです。
幅が広すぎて丁度良いヘラがないのです。
息を止めて平らに均していきます。根気のいる作業です。
何とか平らに打ち終えました。
慎重にマスキングテープを剥がしていきます。
シールが硬化するまで埃除け養生をしておきます。
仕上げのシールは、天板とパネルとの間、
エンドパネルと天板、エンドパネルと袖壁との間に
コーキングを打っていきます。
ヘラで均します。
均し終えたら、マスキングテープを剥がし
シール打設部分への埃養生と清掃です。
最後に扉の調整をすれば組立は終了です。